そもそも就活軸とは?
「就活軸」という言葉を聞いたことがありますか?聞いたことがあっても、具体的に何を指しているのかわからないという方も多いと思います。「就活の軸を持ちましょう」というのは、つまりは「自分の中での就活の基準を持ちましょう」という意味です。
就活生はたくさんいますが、全員が同じ企業を受けるわけではありません。それは、志望企業を選ぶ基準がそれぞれ違うからです。ある人は「一緒に働く人や環境面」を重視し、またある人は「仕事のやりがいや達成感」を追い求めて就活をします。他にも、「憧れている職業に就きたい」「将来のためにスキルを身につけたい」など、なにかしらの譲れないものがあり、就活時の行動を決定していくのです。そういった基準を自分の中で設けることを「就活軸を持つ」といいます。
なぜ就活軸は必要なのか?
では、なぜ就活軸を作るべきなのでしょうか。そのメリットとして、「志望企業が絞りやすくなる」「志望動機にも具体性が増し一貫性を出せる」「入社後のミスマッチをなくせる」といったことが挙げられます。
就活をしていると、「なんとなく」で様々な企業がよく見えてきます。そうなると、志望企業を決めきれないものですが、就活の軸を持っていればそれに従って企業を絞っていくことができます。「この企業は自分が求めていることを実現できるのか」という目で選定していけば、効率的に就活を進めていけるでしょう。
面接でも自身の軸を持っていれば、聞かれたことに対して一貫性のある受け答えができます。志望動機も具体的な根拠があるので、説得力が増すでしょう。軸を持って発信し選考が進んでいけば、それは企業があなたの思いに応えられるということでもあります。入社後のミスマッチをなくしていけることは、就活軸を持つ大きなメリットとなります。
企業としても、就活生に軸を持っていてもらいたいという気持ちがあります。それは同様に「ミスマッチ」をなくすためです。企業が求めているのは、経営理念に共感していて、社風にも合い、能力やその人が会社に求めていることがマッチしているかどうかです。採用するからにはもちろん長く活躍していってほしいものです。だからこそ、入社時にお互いの認識のズレはなくしたいのです。就活生の軸を把握することによって、企業としては安心して選考を進めていくことができます。
このような理由から、面接でも「就活で一番軸にしている点は何ですか?」「企業選びで重視したい点を3つ挙げて下さい。」など、就活軸に関する質問をする企業が少なくありません。
ミスマッチについてですが、どうしても入りたい企業があったとします。しかし、よくよく調べてみると自分の設定した軸とは全く合わない会社でした。そこで就活軸を曲げて入社したときに、やはりミスマッチが起こります。「やっぱり自分が求めていたこととは違う」と入社後に認識させられるのです。
それが新卒者の離職率の高さにも繋がっているのではないでしょうか。これは企業側にも言えることで、会社をよく見せようとしているだけでは、結果として人材は離れていってしまいます。
就活軸の見つけ方とは?
自分の就活軸を見つけるには、自分のことをよく知る必要があります。「自己分析」することで、自分の中の判断基準や優先順位、仕事に何を求めているのか、どんな目標を持っているのかを見つめ直すことができます。就活軸を見つけるために、まずは自己分析をしてみましょう。
・過去の自分を振り返ってみよう
あなたは今どんなことに打ち込んでいますか?興味を持っていますか?なんとなく好きだというモノは、なぜ好きだと感じるのでしょうか。今のあなたに繋がっている過去の出来事や経験を思い出してみてください。この経験があったから、この行動を起こしたから今の自分があるのだ、というものを見つけてみましょう。達成感を覚えたこと、辛いと感じたこと、人よりも得意だったことや苦手だったこと、これまでに頑張ってきたことの根底にはどんな思いがあったのか…など、多角的に振り返ってみてください。
過去のエピソードが一番説得力のある、あなたの持つ基準になります。難しいと思われるかもしれませんが、自身の過去を深く追求することで確かな自己分析をすることができます。思いついたことをノートに書き出すことで考えもまとまってきます。
・共通点はないか?
過去を振り返ってみて、何か共通点がありませんか。「いつも人との関わりを大切に思っていた」「目立つことが好きだった」「モノづくりが好きだった」「目に見えないものに価値を感じていた」など、判断基準や譲れなかった条件を探し出してみましょう。それこそが、あなたの自己分析の結果であり、就活の軸をつくる要素です。
・就活軸をつくってみよう(具体例)
自己分析をもとに、自分の就活軸を作ってみましょう。注意したいのは、企業は待遇や働く環境面(残業や休日)ばかり求められると、あまりいい評価をしません。もちろんそれらは大事なことなのですが、やる気や自社を志望した理由を聞きたいのです。この後にも記載していますが、企業へ伝えられる軸を作りましょう。また、軸は1つである必要はありません。いくつかある場合は優先順位をつけましょう。
・人との関わりを楽しめる仕事
・新しいことを生み出す仕事
・伝統を守っていく仕事
・人のサポートを実感できる仕事
・コツコツと地道に努力していける場所
・圧倒的なスピードで成長していける場所
・手に職をつけられること
・ライフスタイルの変化に対応できること など
自分が求めることと、企業に当てはまることをうまく見つけて軸を形成してみましょう!
それでもなかなか見つからない人へ!就活軸を作るヒント
・先輩や身近な社会人に聞いてみよう
「いろいろ思い返してみたけど、働いたことがないから決められない…」という方は、身近な人に聞いてみましょう。卒業した先輩にどんな就活軸を作っていたのか聞いてみると、ヒントが見つかるかもしれません。また、家族などの身近な社会人にもアドバイスを求めたらいかがでしょうか。
実際に会社で働いている人はどんなことを感じているのか、何を大切だと思うのか、何気ない会話からでも新しい発見に繋がることがあります。
・本音と建前を上手く使おう
就活軸は、自分だけが把握している「本音」と、企業向けに使う「建前」の両軸で成り立ちます。本音はあなたの欲求そのものであり、ESや面接でそのまま伝えると語弊があると思います。そんな本音の軸をうまく言い換えたのが建前の軸です。
例として、「同年代の誰よりも出世したいし、その分お金もたくさん稼ぎたい」という本音があるとします。これには、地位や収入のためなら、何でも頑張るというポジティブさがあります。そこで、「自分が鍛えられるような環境でスピード成長を実現したい。次世代を担う存在になりたい」という建前をつくることができます。「とにかくみんなで楽しんで仕事がしたい」という本音があれば、「人との関わりを大切にできる仕事がしたい」という建前ができます。
ESや面接では建前をうまく使って、就活軸を伝えていきましょう。建前であって、嘘ではありません。なので、自身が求める基準からぶれずに思いを伝えることができます。
最後に
就活軸を決めることは非常に大切です。自信を持って自分の思いを伝えることができますし、ミスマッチのない内定を得るためにも必要なことだと言えます。
ただ、就活軸がうまく決まらないからといって就活が進まないわけではありません。いろいろな企業を見ているうちに、就活軸が変わっていくこともあるでしょう。
就活軸に縛られて動きづらくなるくらいならば、ある程度の柔軟性を持って対応していきましょう。そのときに、もとの軸からかけ離れていると入社後に後悔することもあるので気をつけてください。
自分にとって大切な就活軸を決めて企業研究を進めていきましょう!