こんにちは。「就活の教科書」編集長の岡本です。
「就活の教科書」は、内定者の視点から就職活動の情報を届けるWebメディアです。
今回は「Infraジョブ型新卒」とのコラボ記事として、新卒採用における「ジョブ型採用、職種別採用」について解説します。
就活をしていると、「ジョブ型採用」や「職種別採用」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
また、新型コロナウイルスの影響により、テレワークや業務のオンライン化などが急速に進んでおり、欧米の企業が導入している「ジョブ型採用(職種別採用)」制度が日本でも注目されつつあります。
そこでこの記事では新卒採用における「ジョブ型採用(職種別採用)」について解説します。
合わせて、新卒採用でジョブ型採用(職種別採用)を実施している企業や、ジョブ型採用(職種別採用)を行うメリット・デメリット、導入している企業に就職するための対策法を紹介します。
この記事を読めば「ジョブ型採用(職種別採用)って何?」「新卒でジョブ型採用(職種別採用)を導入している企業はどこ?」という悩みや疑問を解決できます。
「ジョブ型採用(職種別採用)を詳しく知りたい」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
【わかりやすく解説】ジョブ型採用/雇用、職種別採用とは?
業界研究や企業研究をしていると「ジョブ型採用」や「職種別採用」という言葉を目にする就活生は多いです。
ジョブ型採用とは「就職前に仕事内容を決めて、仕事に必要なスキルや能力、知識を備えた人材を雇用する制度」のことです。
またジョブ型採用は、どのような業務をすべきなのか、どこで働けばいいのか、どのくらいの給料がもらえるのか等の勤務条件が細かく決まっています。
また、明確にジョブ型採用と職種別採用の定義が決まっているわけでは有りませんが、職種別採用とは完全にジョブ型採用を導入しきれてない企業(総合職採用をしている企業)が職種別に新卒や中途採用の募集をかけていることを指すことが多いです。入社後は基本的に採用された仕事をすることがほとんどですが、職種としては総合職として採用されます。各企業によって異なります。
年功序列や終身雇用などの昔ながらな考え方が変化してきているため、欧米で取り入れられているジョブ型採用の注目が日本でも高まっています。
しかし「ジョブ型採用」について完璧に理解できている就活生は少ないはずです。
そこで、以下の2つの観点から「ジョブ型採用」をわかりやすく解説します。
・ジョブ型採用とメンバーシップ型雇用の違い
・ジョブ型採用を導入している企業はどれくらい?
年功序列や終身雇用制度の考え方が変わってきている時代だからこそ、ジョブ型採用の理解も深めておきましょう。
ジョブ型採用とメンバーシップ型雇用の違い
メンバーシップ型雇用は、年功序列や終身雇用、新卒一括採用などが主流の今の日本の企業が取り入れている雇用制度です。
そこでジョブ型採用とメンバーシップ型雇用の違いを以下にまとめてみました。
ジョブ型採用とメンバーシップ型雇用では、上記のような違いがあります。
メンバーシップ型雇用との違いをきちんと理解した上で、ジョブ型採用を志望するようにしましょう。
ジョブ型採用を導入している企業はまだ少ない
ジョブ型採用は注目されつつありますが、実際に導入している企業はまだ少ないのが現状です。中には中途採用では実施しているが、新卒採用では実施していない企業なども存在します。
ジョブ型採用の導入率は約18%で、導入に向けて検討中の企業は30%~40%となっています。
実際にパーソル総合研究所が行った調査を見ると、ジョブ型採用の導入率は以下のようになります。
出典:パーソル総合研究所、ジョブ型人事制度の実態に関する調査結果を発表
上記の結果を見ると、企業規模が大きい企業ほどジョブ型採用の導入に積極的です。
しかし、中小企業ではまだ導入は進んでいないので、ジョブ型採用を導入している企業は今の段階では少ないと言えます。
ジョブ型採用/雇用を導入している日本企業例
「ジョブ型採用を導入している企業に就職したい」と考える新卒就活生の方もいるはずです。
そこで次は、ジョブ型採用を行なっている日本企業を紹介します。
・日立製作所
・富士通
・資生堂
・KDDI
・NEC
・Panasonic
・博報堂プロダクツ
・ディー・エヌ・エー
・ユニリーバ
・アクセンチュア
・ソニー
・大和証券
・LINE
など
その中でも今回は、ジョブ型採用を導入している「日立製作所」「富士通」「資生堂」「KDDI」「NEC」について解説しますね。
企業①:日立製作所
ジョブ型採用を導入している日本企業例1つ目は「日立製作所」です。
日立製作所は約30万人の従業員がいますが、その過半数が外国籍の人材なので、グローバル対応をするためにジョブ型採用を推し進めています。
また日立製作所は新卒でもジョブ型採用を取り入れています。
日立製作所のジョブ型採用をまとめると、以下のようになります。
・グローバル企業なのでジョブ型採用がスタンダード
・2020年の4月からジョブ型採用を強化
・2020年度から一部のジョブを対象に技能、経験、仕事内容を考慮した処遇を設定
・技術系職種では希望の事業分野への配属を確約するマッチングを採用
・事務系職種では職種別採用コースを新設
また、日立製作所ではジョブ型のインターンシップを開始しているので、インターンシップの段階からジョブ型マッチングができます。
実際に日立製作所のインターンシップ例を紹介します。
出典:日立製作所
このように、研究開発や設計開発などによってインターンシップのプログラムが分かれています。
日立製作所は2024年度中に完全なジョブ型採用への移行を目標としています。
企業②:富士通
ジョブ型採用を導入している日本企業2つ目は「富士通」です。
富士通は、幹部社員や、エンジニアに対するジョブ型採用を取り入れている企業です。
富士通のジョブ型採用をまとめると、以下のようになります。
・2020年、国内1万5,000人の幹部社員について、報酬体系を職能ベースではなく職責ベースとする雇用へ転換
・一般社員6万5,000人については数年後にジョブ型採用を導入予定
・より大きな職責にチャレンジすることを促し、成果を挙げた人にタイムリーに報いることを目的としている
・新卒のジョブ型採用を導入
富士通は、2019年6月にジョブ型採用への移行を決定しており、その10ヶ月後の間にジョブ型採用の実施を開始しています。
つまり、スピード感を持った移行を実現しているため、今後の雇用制度の拡大に期待できます。
企業③:KDDI
ジョブ型採用を行なっている日本企業3つ目は「KDDI」です。
KDDIがジョブ型採用導入する理由は、自分の過去の経験や能力から得られた「やりたいこと」を入社後に活かせる企業に就職したいと考える学生が増えているからです。
KDDIのジョブ型採用をまとめると、以下のようになります。
・2021年度の新卒採用から通年採用型に変更
・2020年度からジョブ型採用枠を4割程度まで拡大
・ジョブ型採用では「データサイエンス」「UI/UXデザイン」「ビジネスインキュベーション」などのコースがある
・2021年4月入社の新卒社員から、新人事制度が適用され、初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体系を導入する
・KDDIの新卒のジョブ型採用では、入社時の配属先を確約するもので入社後のジョブチェンジも可能
KDDIは新卒のジョブ型採用を取り入れていますが、あくまでも入社後の配属先を決めるものです。
ジョブ型採用とメンバーシップ型雇用の2つを取り入れた制度を目指しているのがKDDIの特徴ですね。
企業④:資生堂
ジョブ型採用を導入している日本企業4つ目は「資生堂」です。
化粧品で有名な資生堂は、生産性の低さと、日本支社で働く人材の専門スキルの低さの課題を解決するために、ジョブ型採用制度を取り入れています。
資生堂のジョブ型採用をまとめると、以下のようになります。
・2020年1⽉、国内の管理職の一部、約1700⼈を対象にジョブ型採用制度を導入
・2021年からは国内の一般社員にも範囲を拡大
・ジョブ型採用制度を日本の風土にもあうようカスタマイズした「ジョブグレード制度」を導入
⇒20以上のジョブファミリー(領域)と、ジョブファミリーごとのジョブディスクリプション(職務定義書)を用意
資生堂は、ジョブファミリー内で昇進を目指し、専門性を高めながら、同じジョブファミリー内での異動や担当替えをスムーズに行うことも目的としています。
ジョブ型採用でも独自に使いやすくしているのが資生堂の特徴です。
企業⑤:NEC
ジョブ型採用を導入している日本企業5つ目は「NEC」です。
NECは2021年度の新卒採用からジョブ型採用を導入しています。
NECのジョブ型採用をまとめると以下のようになります。
・優秀な人材に対しては、学歴別の初任給ではなく、本人の役割に応じた報酬にする
・新卒のジョブ型採用は、「データサイエンス」「サイバーセキュリティ」「DXビジネス」「AI創薬」などの一部のキャリアのみ
・学生が持つスキルと入社後の役割をマッチングし、成立するとキャリア採用ポジションの格付けで採用し、職務ベースでの月収を設定
NECもKDDIと同様で、ジョブ型採用制度とメンバーシップ型雇用制度を取り入れたハイブリッド型を目指しています。
新卒でも専門性とスキルがあれば、年収800万円以上になることもあり得ます。
新卒でジョブ型採用/雇用企業に就職するメリット・デメリット
「新卒でジョブ型採用を企業に就職すると、どのようなメリット・デメリットがあるの?」と思う就活生もいるのではないでしょうか。
先に結論を伝えると、新卒でジョブ型採用企業に就職するメリット・デメリットは以下の6つです。
・メリット①:自分の専門分野の仕事ができる
・メリット②:異動や転勤がない
・メリット③:専門性に見合った報酬がもらえる
・デメリット①:自分でスキルを磨く必要がある
・デメリット②:必要がなくなれば解雇される可能性がある
・デメリット③:自分でキャリア設計をする必要がある
それでは、新卒でジョブ型採用企業に就職するメリット・デメリットをそれぞれ解説しますね。
メリット①:自分の専門分野の仕事ができる
新卒でジョブ型採用企業に就職するメリット1つ目は「自分の専門分野の仕事ができる」です。
自分の専門分野を仕事にすることで、専門的なスキルも向上し、同じ分野の仕事をずっと続けられます。
例えば、データサイエンティストのジョブ型採用だと、永久的にデータサイエンティスト関連の仕事ができます。
メンバーシップ型雇用では様々な業務を任せられますが、ジョブ型採用では自分が得意な仕事ができるので、かなり専門性を高められます。
メリット②:異動や転勤がない
新卒でジョブ型採用企業に就職するメリット2つ目は「異動や転勤がない」です。
ジョブ型採用では、採用の段階から勤務地や配属される部署が決まっています。
そのため、異動や転勤がいきなり命じられることはありません。
異動や転勤による急な引っ越しがないのは、ジョブ型採用の大きなメリットでしょう。
メリット③:専門性に見合った報酬がもらえる
新卒でジョブ型採用企業に就職するメリット3つ目は「専門性に見合った報酬がもらえる」です。
ジョブ型採用では、仕事に求められるレベルや専門性の高さなどによって、もらえる報酬が事前に決まっています。
つまり、自分の専門性に見合った報酬がもらえます。
報酬に満足できない方は、自分のスキルを磨いていけば収入を上げることもできます。
デメリット①:自分でスキルを磨く必要がある
新卒でジョブ型採用企業に就職するデメリット1つ目は「自分でスキルを磨く必要がある」です。
ジョブ型採用を行なっている企業では、即戦力となる人材を求めており、企業が採用したいと思うようなスキルが必要です。
またメンバーシップ型雇用では、企業が研修やOJTを用意してくれますが、ジョブ型採用では基本的に自ら学ぶ必要があります。
そのため、入社後に自分のスキルを高めるために努力できそうにない人は、ジョブ型採用の企業には向いていないかもしれません。
デメリット②:必要がなくなれば解雇される可能性がある
新卒でジョブ型採用企業に就職するデメリット2つ目は「必要がなくなれば解雇される可能性がある」です。
ジョブ型採用では、会社の都合などで、自分の仕事が必要とされなくなることもあり得ます。
また、メンバーシップ型雇用と違って様々な仕事の経験がないため、他の部署に回してもらうことも難しくなります。
長期雇用の保証がないのが、ジョブ型採用のデメリットと言えます。
デメリット③:自分でキャリア設計をする必要がある
新卒でジョブ型採用企業に就職するデメリット3つ目は「自分でキャリア設計をする必要がある」です。
ジョブ型採用では、企業側が即戦力になる人材を求めるため、会社に頼らないキャリアを設計することが重要になります。
能力不足だと判断されないように、ジョブ型採用の企業では自らスキルを高める必要があります。
企業がジョブ型採用/雇用を行うメリット・デメリット
ジョブ型採用には働き手だけでなく、企業にもメリットやデメリットが存在します。
具体的には、企業には以下のようなメリット・デメリットがあります。
・メリット①:即戦力となる優秀人材を確保できる
・メリット②:生産性を高められる
・メリット③:グローバル基準に合わせるため海外から優秀な人材を確保できる
・デメリット①:範囲外の仕事を渡しにくくなる
・デメリット②:より条件の良い企業に転職されてしまう
それでは、企業がジョブ型採用を行うメリット・デメリットについてそれぞれ解説しますね。
メリット①:即戦力となる人材を確保できる
企業がジョブ型採用を行うメリット1つ目は「即戦力となる人材を確保できる」です。
ジョブ型採用は、企業が仕事内容や求めるスキルなどを明確にして募集するので、企業が欲しい人材を確保しやすくなります。
一方で、メンバーシップ型雇用は総合的に仕事を任せるため、専門的なスキルを身につけた人材を確保しにくい問題があります。
そのため、就活生の目線では「ジョブ型採用をしている企業 = 即戦力となる人材確保したい企業」と見ることもできるでしょう。
メリット②:生産性を高められる
企業がジョブ型採用を行うメリット2つ目は「生産性を高められる」です。
ジョブ型採用で採用活動を行うと、予め仕事内容を決めた上で採用しているため、各人材が最大限のパフォーマンスを発揮しやすくなります。
それぞれの社員が自分の専門領域で仕事をするので、会社全体の生産性向上につながりやすいです。
メリット③:グローバル基準に合わせるため海外から優秀な人材を確保できる
企業がジョブ型採用を行うメリット3つ目は「優秀なグローバル人材の確保」です。
ジョブ型採用で採用活動を行うと、採用の方法がグローバルスタンダードになるため海外からの優秀な人材の受け入れがしやすくなります。
また、今まで海外に流動してしまっていた優秀な日本の学生も採用に繋げられる可能背が高まります。
デメリット①:範囲外の仕事を渡しにくくなる
企業がジョブ型採用を行うデメリット1つ目は「範囲外の仕事を渡しにくくなる」です。
ジョブ型採用では、自分が任されている仕事に力を入れるため、自分の仕事以外のことなどを依頼がしにくくなります。
一方で、メンバーシップ型雇用では様々な部署移動を伴うため、個人のできる仕事の幅が広く個人の範囲外の仕事を任せても一定のパフォーマンスを出せることが多いです。
デメリット②:より条件の良い企業に転職されてしまう
企業がジョブ型採用を行うデメリット2つ目は「より条件の良い企業に転職されてしまう」です。
ジョブ型採用は終身雇用ではないため、今より良い条件に転職しようとする人材が多いです。
また、企業側も必要がなくなれば解雇する場合があるので、人材の流動性が高まります。
企業側で見るとデメリットにはなりますが、働き手側から見ると、ジョブ型採用は条件の良い企業に転職しやすいというメリットにもなり得るでしょう。
新卒でジョブ型採用/雇用の企業に就職するための対策法
「どうすれば新卒でジョブ型採用の企業に就職できるの?」と考える就活生もいるのではないでしょうか。
そこで次は、新卒でジョブ型採用の企業に就職するための対策法を3つ紹介します。
・対策法①:長期インターンシップに参加する
・対策法②:自分でスキルを身につける
・対策法③:資格を取得する
それでは、新卒でジョブ型採用の企業に就職するための対策法をそれぞれ解説していきます。
対策法①:長期インターンシップに参加する
新卒でジョブ型採用の企業に就職するための対策法1つ目は「長期インターンシップに参加する」です。
就活生が長期インターンシップに参加することで、アルバイトよりも複雑な職務を体験でき、仕事によっては専門的なスキルも身につけられます。
長期インターンシップの具体例は「動画編集」「プログラミング」「営業」「マーケティング」などです。
ビジネススキルも身につけられるため、ジョブ型採用企業に就職したい方は、ぜひ長期インターンシップに参加してみてください。
対策法②:自分でスキルを身につける
新卒でジョブ型採用の企業に就職するための対策法2つ目は「自分でスキルを身につける」です。
先述した通り、ジョブ型採用の企業は専門的なスキルを持った人材を求めています。
自分で勉強しながらスキルを身につけることで、採用される可能性は高まるでしょう。
対策法③:資格を取得する
新卒でジョブ型採用の企業に就職するための対策法3つ目は「資格を取得する」です。
資格を取得することで、自分のスキルや能力をわかりやすくアピールできます。
具体的な例を挙げると「大学で簿記を勉強しました」という人よりも「簿記2級の資格を持っています」という人の方が、自分のスキルを証明しやすいです。
そのため、ジョブ型採用企業に就職するなら、大学生のうちから資格の取得に挑戦してみるのも良いでしょう。
まとめ:ジョブ型採用/雇用を導入する企業は今後さらに増えていく
この記事では「ジョブ型採用」や「職種別採用」について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
合わせて、ジョブ型採用を実施している企業や、ジョブ型採用を行うメリット・デメリット、ジョブ型採用の企業に就職するための対策法を紹介しました。
ジョブ型採用制度を導入している企業はまだ少なく、導入しているのは大手企業が多いのが現状です。
しかし、企業全体の4割程度がジョブ型採用の導入を検討しているのも事実です。
新卒採用でジョブ型採用や職種別採用を実施している企業を見つけたい場合はこちらから探してみてください!
新卒一括採用や年功序列、終身雇用制度が変化しつつあるため、ジョブ型採用の理解を今のうちに深めておきましょう。
この記事がみなさんの就活に役立てば幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
【この記事を書いた人】
岡本恵典(株式会社Synergy Career 代表取締役)
月間200万PVの就活メディア「就活の教科書」の編集長。
「就活の教科書」では、自己分析、エントリーシート、グループディスカッション、面接対策などの就活の基礎知識について、内定者が自身の経験を正直にお伝えしています。
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