自己PRが書けない、と思っているのはあなただけではありません。小さな頃から人と違うことをしないように、自分を主張しないように、と教えられてきたのにいきなり自分をPRしろと言われたって…と戸惑っている方もおられるかも知れません。でも心配はいりません。自己PRはそれほど難しいものではないのです。
なぜ自己PRが書けないのか
自己PRが書けない理由として幾つか挙げることができますが、そのほとんどは恐らく思い込みでしょう。今から見ていきますが、解決してゆくためのカギになるのはよく分析することです。自分の強みを分析すること、自分の強みを評価すること、そして企業のニーズを分析することです。
1.自分の強みがなんだかわからない
友人や他の応募者の強み、つまりアピールポイントはよく見えるのに自分の強みは思いつかない、という人がいます。取り柄なんてない、とさえ思うかも知れません。自分のことを評価するのは時に難しいものです。他の人から見れば良い点でも、あなたにとってはありふれた、普通のことなので気付かないのでしょう。でも見つけ出すことは可能です。カギは自己分析です。ただひたすら考えることで思いつくようなものではなく具体的な方法があります。どのようにできるか見ていきましょう。
まず近い過去からさかのぼって、とにかく自分なりに一生懸命に取り組んだことを書き出していきましょう。重要なのは他の人と比べての評価ではなく自分なりにというところです。どんな小さなこともまずは書いていきます。最終的に失敗してしまったことも書き出します。思い出しにくいならアルバイトの経験や学校行事などの大きなイベントを中心に振り返ってもよいでしょう。求められて努力したことも良いですが、自主的に取り組んだものがないかも探っていきます。
では次にどうしてそのことに一生懸命になったのか考えましょう。その時の自分のモチベーションになったものは何だったのでしょうか。礼儀を重んじることや、整理整頓が好きであること、負けず嫌いなところなど動機を見つけるようにしてみましょう。ここを分析していくとあなたがどんな局面でご自分の良さを発揮するのか自覚できるようになるでしょう。
いくつかの経験が思い起こせたら、共通点を探してみましょう。それはあなたの傾向であり、それこそがアピールできる強みとなるでしょう。でも他の人ほどずば抜けた強みではない、と自信が持てないかも知れません。でも気にする必要は全くありません。次をご覧ください。
2.自分の強みが大したことないと思ってしまう
応募者の中にはボランティア活動や海外留学の経験がある人もいて、そういう人と比較すると自分の強みはちっぽけに見えてしまうかも知れません。
しかし是非とも覚えておきたい点ですが、面接官がより重要視しているのは、あなたがかつて身を置いていた環境やエピソードのスケールの大きさではなく、一つの活動に対するあなたの姿勢や熱意です。あなたを採用したら、どんなふうに頑張ってくれるのか、どう自社に貢献してくれるのかを知りたいのです。ですから何か派手な経験だけが歓迎されるわけではないのです。
逆に言うと派手な経験を持っているとしても、その事実をただ単に書いただけではアピールとしては非常に弱まってしまいます。その経験の持ち主自身が表面的な事実に惑わされてしまう危険さえあるのです。出来事から抽出されたあなた個人の持ち味に重要な意味があります。
そして自分を知ってもらうことが目的だということを忘れないようにしましょう。経験してきたことの中にあなたが見えることが大切です。繰り返しになりますが、これは経験の大きさには依存しません。例えばただ遠くの学校に毎日通い続けたことの中にさえ粘り強さや、自制心の強さを見ることができます。
こうした経験に派手さは全くありませんが、結果が出るまでに時間が掛かるため貴重です。すぐに思いついて達成できるものではないからです。良い意味でご自身のエピソードを評価しましょう。出来事のプロセスに目を向けて、あなたなりに努力してきたことを上手に提出すれば良いのです。
ありふれたエピソードには他にも良い点があります。ありふれているからこそ読み手も理解しやすいということです。情景や気持ちが思い描きやすく、親近感さえ与えるかも知れません。ただし素材がありきたりだからといって中身、つまりご自分がその時に行った工夫や表れている特性までありきたりな書き方にならないように注意しましょう。つい控えめに書いてしまいがちですが、ここは自信を持ってください。説明不足で良い点が埋もれてしまうのは勿体ないことです。
こうして考えてみると、他の人のものすごいエピソードと自分のそれを比較すること自体が無意味であることがわかります。面接官にアピールするポイントはそこではないからです。
3.どの強みをアピールしたらいいか分からない
自己分析してみると、幾つか自分の強みが見つかることでしょう。しかし一番の強みが絞り切れずどれをアピールしたらよいのか迷ってしまうかも知れません。ではどうすれば良いでしょうか。ここでも分析がカギとなります。相手を分析しましょう。
あなたが志望される企業はどんなところでしょうか。業界全体の傾向として求められている適正にはどんなものがあるでしょうか。仕事内容はどうですか。ウェブサイトで公表されている情報から読み取れることがあるでしょうか。
短期のインターンなどを活用してさらに知ることもできるでしょう。このようにして志望する企業を分析することで期待されている人材がどのようなものなのかが見えてくるでしょう。作業の正確さ、スピード、能率性、実直さ、協調性、積極性、提案力、説得力など、一般に求められることには共通点がありますが、その中でも特に必要とされている特性は何なのか見極めるようにしましょう。
そのニーズに合わせてご自分がアピールすべきポイントを絞り込むことができます。自己PRの中でご自分の強みがどのようにマッチするのか、そして発揮できるのかを説明するのです。ここがピタッと来るほど面接官のあなたに対する期待値は高まっていくことになるでしょう。
志望する企業によって自己PRの内容は変化するのが理想です。でもそれは企業によっていちいちアピールする長所を丸ごと変えなくてはいけない、ということではありません。ご自身の長所が志望企業のどの部分とマッチするのかに注意を払いましょう。
最後に
自己PRが書けない、という問題にどのように取り組めばよいのか考えてきました。長所は経験の地味・派手にかかわらず見つけることの出来るものです。自分についてよく分析すれば答えが見えてくるでしょう。
しかし、分析ということは何かを思い出す作業でもあり、時間が掛かります。それで就活が本格的に忙しくなる前に取り掛かっていきたいものです。それでもエピソードがどうしても出てこないなら行動しましょう。バイトやインターンシップを活用してみるのも良いでしょう。
一回で最高の自己PRが作れるわけではないでしょう。実際に試してみて、面接官の反応が今ひとつなら素材をごっそり変えるより、伝え方に変化を持たせてみてください。改善を繰り返してより良いものに仕上げていきましょう。そうして手に入れたアピールポイントは就活の後の社会生活でも必ず役立つでしょう。