三井物産は総合商社として、明治維新以降の日本を支えて来た重要企業の1つです。実はこのような総合商社という業態は日本独特で、英語では「Sogo shosha」と呼ばれています。三井物産はそのような総合商社のなかでも五大商社と呼ばれる有力な商社です。商社の仕事は海外勤務や積極的な営業などで大変だといわれていますが、平均年収は約1200万円と全上場企業の中でもトップクラスの高給ですし、日本人の生活に使われる様々な商品の輸入に関わっているのでやりがいもあると考えられます。ここでは三井物産の特徴や選考対策について就活生が知っておくべき情報について説明します。

三井物産の主な事業内容は?

三井物産は総合商社と言われています。商社とは商品の流通機能の一部で、主に輸入貿易や国内への物資の販売を行う会社の事を指します。総合とはすなわちなんでも扱うという意味で、総合商社は「ラーメンからロケットまで取り扱っている」と言われています。

三井物産の場合は、事業部を6つに分けて、その中に事業16の事業本部があります。

<金属分野>
・鉄鋼製品本部
薄板、電磁鋼板、表面処理鋼板、自動車用鋼材、厚板、鋼管、丸棒、形鋼、線材、特殊鋼、ステンレス、スラブ、ビレットなどの鉄鋼製品と鉄鋼事業自体への投資を行っています。

・金属資源本部
鉄鋼原料、非鉄金属・製品、鉄鋼・非鉄二次原料などを取り扱っています。またリサイクル、環境ソリューション事業も行っています。ただ、買い付けてくるだけではなく鉱山の開発から参画する事もあります。

<エネルギー分野>
・エネルギー第一本部
石油・天然ガスなどの資源の採掘開発や石油、石油製品、石炭の輸入、外国間取引、国内販売などを行っています。

・エネルギー第二本部
LNG/天然ガス事業への参画・推進、輸入・多国間取引や新たな天然ガス商業化スキームへの取り組み、環境・次世代エネルギービジネスの推進などを行っています。

<機械・インフラ分野>
・プロジェクト本部
火力電力、再生可能エネルギーなどの電力事業、石油精製インフラ、化学プラントなどのハイドロカーボン事業、港湾や空港などの物流インフラ事業やスマートシティ開発、水処理事業など地球環境に配慮した事業開発などを行っています。

・機械・輸送システム第一本部
乗用車や二輪車の完成品、部品について生産、卸売、販売、ファイナンス、リース、レンタルなどを行っています。また、乗用車だけではなく鉱山・建設機械、工作機械や産業機械、農業機械なども扱っています。さらに鉄道インフラ開発なども行っています。

・機械・輸送システム第二本部
船舶の売買、保有、運行事業や、航空機、ヘリコプターなどの売買及びリース。ファイナンス事業や鉄道車両リースを行っています。

<生活産業分野>
・食料本部
タンパク質、食料ネットワーク、脂質・主食、糖質、バリュー素材にわけて様々な食品事業への投資や運営、企画推進などを行っています。

・流通事業本部
国内外における小売店のサポートや、食材・包材の輸出入・内販・外国間取引や食料総合卸売事業や加工品、冷凍食材、ペットフードなどの輸出入・内販などを行っています。

・ヘルスケア・サービス事業本部
病院・クリニックや周辺事業などのヘルスケア分野、医薬品の開発支援、製造・販売事業などの医薬分野、給食事業やユニフォームレンタル事業、人材派遣・紹介、教育事業などのサービス分野の3分野で事業を行っています。

・コンシューマービジネス本部
不動産開発・賃貸事業、不動産運用など不動産分野、住宅資材、森林資源、紙資材、産業資材などを取り扱う生活事業開発分野、ブランドリテール事業、衣料品OEM、原料・素材調達などのファッション・繊維分野の3分野で事業を行っています。

<化学品分野>
・ベーシックマテリアルズ本部
メタノール・アンモニア分野、オレフィン・クロールアルカリ分野、アロマ・化成品分野と
タンクターミナル事業を行っています。

・パフォーマンスマテリアルズ本部
合成ゴムや炭素繊維などの機能材料、液晶ディスプレイや半導体材料などの先端材料事業領域、グリーン・バイオ原料、洗剤原料・界面活性剤などのスペシャリティケミカルズ事業領域の3種類の事業領域で活動しています。

・ニュートリション・アグリカルチャ一本部
農薬・肥料製造販売、肥料資源、肥料原料などのグローバル物流を扱うアグリカルチャー領域、必須アミノ酸、有機ミネラルなどの飼育原料・製品の製造販売を行う、アニマルニュートリション領域、食品素材・食品原料、医薬原料・香料原料の製造販売などを行うフードサイエンス領域の3領域で活動しています。

<次世代機能推進分野>
・ICT事業本部
ICTを活用した事業、高速通信事業、IoT、Eコマース、電子決済、サイバーセキュリティーやデータセンター・クラウドなど様々な事業を行っています。

・コーポレートディベロップメント本部
アセットマネジメント、保険、リース、企業投資などの金融関連事業、物流センター、国際輸送、重量物ハンドリングなどの物流関連事業を行っています。


競合と比較した三井物産の強み

このように食料品からインフラまで色々な商材を取り扱っている三井物産ですが、もちろん他の総合商社も同じように様々な商材を扱っています。三井物産はそのような総合商社の中でもどのような強みがあるのでしょうか。まず、何かと比較されがちな三菱グループの三菱商事、住友グループの住友商事とは「組織の三菱、人の三井、結束の住友」という風に言われていています。

また、三井物産の特徴として挙げられるのが資源事業で、五大商社の中でも事業に占める資源の割合が大きい企業だと言えます。総合的な売上で近年は伊藤忠商事に後塵を拝してきましたが、近年資源市場が好調なために、2018年3月決算では過去最高益を出し、伊藤忠商事とも並びそうだと予想されています。


三井物産はどのような学生を求めているのか

では、三井物産はどのような人材を求めているのでしょうか。まず総合商社は就職先としても人気の業界の1つで、非常に優秀な人材が多く集まると言われているのである程度の学歴が求められると考えられます。

更に、2018年度卒を対象にした採用サイトの人事開発室長へのインタビューを見ると、「人間的な魅力がある人。自ら考えて行動する人。泥臭くても、荒削りでも、やり遂げてみたいという強い想いを抱いている人」という風に採用したい人材をあげています。三井物産では「挑戦と創造」を標語に掲げて事業を行っているために、このような人材が求められているのだと考えられます。

エントリシートについても
・周囲と協力して目的を達成する過程において、あなたがとった具体的な行動を記述してください。
・逆境に直面した時、あなたはどのように対応してきましたか。具体的なエピソードを踏まえて記述してください。
・過去にあなたが下した最大の決断について、決断までの過程や、その決断に至った理由を具体的に記述してください。

などのように挑戦に関する過去の体験が問われる設問がたくさん存在する事からも、三井物産が上記のような人材を求めている事は裏付けられます。

まとめ

以上のように三井物産について説明してきました。総合商社の中でも5大商社と呼ばれる有力商社の1つで、学生からも人気のある企業となっています。総合商社として6つの事業部と16の事業本部があり、食品からインフラまで様々な事業領域があります。三井物産はその中でもエネルギー・資源に注力している商社で近年資源市場が不況だったため業績は良くありませんが、2017年以降資源市場が回復傾向にあるので2018年度3月期の決算は過去最高益が期待されています。

また、商社の中でも人の三井と呼ばれていて、自分から主体的に行動できる挑戦的な人材を求めています。

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