就活生の皆さんの多くが就職したいと思っている企業は上場企業です。上場企業とは株式を証券取引所に公開している企業の事を指します。上場した方が株式市場を通じて資金調達が容易ですし、会社の信用があがり学生の就職人気もあがる為に多くの会社は上場企業になる事を目指しますが、一部の例外として経営の自由度を保つために非上場企業のまま圧倒的な知名度と事業規模を誇る会社が存在します。そのような会社の1つが本記事で紹介するサントリーです。サントリーは日本最大の非上場企業で、連結売上約2兆6500億円、連結経常利益約1760億円の巨大企業で、グループ全体で約3万8000人の従業員が働いています。本記事ではそのようなサントリーグループについて特徴や選考対策についてまとめます。
サントリーグループの主な事業内容は?
サントリーと言えばまず思いつくのはお酒ですが、サントリーグループには約320社の子会社が存在していて、お酒の製造、販売以外を行っている企業も存在し、子会社で清涼飲料水などを取り扱っているサントリー食品インターナショナルのように上場している企業もあります。このようなサントリーグループの事業を分類すると以下のようになります。
<酒類関連事業>
もともとサントリーは創業者の鳥井信治郎氏が葡萄酒の製造・販売を行う鳥井商店を設立し赤玉ポートワインというワインの販売した事からはじまりました。そして日本で初めてウイスキーの製造を行い、今ではビールをはじめとしたさまざまなお酒の販売を行い、酒類関連事業はサントリーグループの中核事業となっています。代表的なブランドとしては「プレミアムモルツ」「金麦」「山崎」「白州」「鏡月」などがあります。
<食品関連事業>
清涼飲料水から健康食品まで食品関連事業を行っています。特に清涼飲料水については、BOSSや伊右衛門、CCレモンなどの長年に渡って人気のロングセラー商品の製造・販売をおこなっています。またサントリーグループで清涼飲料水の事業をてがけているサントリー食品インターナショナルは東証一部に上場しています。
<外食・花・サービス関連事業>
バー・レストラン・パブの運営を行っている子会社のダイナックは東証二部に上場しています。また、カフェのプロントやトンカツで有名なまい泉や高級アイスクリームのハーゲンダッツ ジャパンなどもサントリーグループとなっています。また、サントリーフラワーズでは生花や野菜の開発、販売を行っていますし、サントリーパブリシティサービスではコンサートホールや美術館におけるレセプションサービスなどを提供しています。
<研究開発機能会社>
サントリーでは製品の開発の為に研究に積極的に資本を投下しています。例えば、世界で初めて青いバラの開発に成功したのはサントリーですし、乳酸菌S-PT84という健康食品に使われている菌を発見したのもサントリーです。このように研究に力をいれており、サントリーウエルネス健康科学センター、サントリーMONOZUKURIエキスパートなどの研究施設を設立しています。
競合と比較したサントリーグループの強み
このように酒類関連事業を中心に様々な事業を行っているサントリーグループですがどのような強みを持っているのでしょうか。
まず何と言っても大きな強みが巨大な企業でありながら非上場だと言う事です。上場する事によって様々なメリットがありますが、それ相応のデメリットも伴います。上場企業の最大のデメリットは不特定多数の株主を意識して経営を行わなければならない事です。上場企業の場合、投資家などが株式を購入しているために会社の業績が悪いと社長が交代させられる可能性があります。また、一般的に株主である投資家は短期的な成果を重視するので何十年後にリターンが得られるような事業については賛成してくれません、またそのような長期的なスパンで投資回収を行うビジネスに参入して株主からの不信を買って株を売却されれば、敵対的な会社や同業他社に株式を買収されて、経営に口をだされる可能性もあります。
このような観点から見た時に実は上場企業の経営は株主の意向を気にしなければならないために不自由なのですが、サントリーは非上場企業でありながら、大企業なので銀行から容易に資金調達が可能なので実は上場するよりも自由な経営体制だといえます。株式を保有している創業家さえ理解してくれれば、一件不合理な経営も、長期的な投資、新規事業も行う事ができるのです。このような経営の自由度の高さにより長期的な観点での成長を考えられる事がサントリーグループの何よりの強みだと言えます。
また、サントリーというブランド自体、酒類業界では「プレミアムモルツ」「山崎」「鏡月」など強いブランド力がありますし、清涼飲料水についても「伊右衛門」や「BOSS」のような消費者からの支持の厚いブランドを保有しています。このような様々な競争力のあるブランド力を保有している事もサントリーの強みだと言えます。このブランド力もあり、ビール大手4社の中でも2016年12月期決算ではトップの成績となっており、売上約2.1兆円で2位のキリンホールディングスから約0.5兆円、売上高約1.7兆円で3位のアサヒグループホールディングスから約0.9兆円の差をつけた1位となっています。このように業界で確固たるシェアを獲得しており、事業基盤が安定している事もサントリーグループの強みだと言えます。
サントリーグループはどのような学生を求めているのか
このように日本の酒類メーカーとしてはトップクラスの事業規模を誇るサントリーですが、どのような学生を求めているのでしょうか。
サントリーが大切にしている創業者の言葉の中に「やってみなはれ」という言葉があります。これはサントリーの社員の挑戦させる懐の広さを表した言葉で、人材採用のコンセプトにもなっている言葉で、非上場企業である強みを生かして色々な事に積極的に挑戦できる人材を求めていると考えられます。
エントリーシートからもこのような事は読み取れて
・サントリーで具体的にやってみたい仕事とその理由について
・今までの人生における『挑戦』または『創造』の経験について
という質問をエントリーシートで行っています。このような事からも積極的に挑戦や創造を行う人間、さらにサントリーで具体的に何かやってみたいと思っている人間を採用したいという意図が感じられます。
まとめ
以上のようにサントリーグループについて説明しました。日本最大の非上場企業グループというのはサントリーの大きな強みで、非上場企業だからこそ上場企業が出来ないような挑戦的で長期的な経営視点で考えなければならない事業や投資についても行う事ができるのです。また、非上場企業だからと言って倒産のリスクがあるのではないかと心配する必要もあまりありません、サントリーが行っている、お酒や清涼飲料水の事業はどちらかという社会のインフラに近い事業であり収益は安定していますし、業界最大手で事業のリスク分散も行われているので、ちょっとやそっとの不況や市場環境の変化では揺れ動く事はありません。
このようなサントリーに入社するためには「やってみなはれ」の精神に合致した人材である必要があります。つまり、リスクを背負ってでも積極的に何かに挑戦していきたい、新しいモノを創造していきたいという人材をサントリーは求めているのだと考えられます。サントリーの選考を受ける場合には、自分の「挑戦」や「創造」に関する具体的なエピソード、サントリーで成し遂げたい目標を具体的に考えた上で選考に臨む必要があります。