松竹と言えば、日本の伝統芸能である歌舞伎事業を独占し、映画事業や演劇事業でも魅力的なコンテンツを提供し続けています。



芸能業界において大手企業と言われる松竹は、どのような事業内容を手掛けているのでしょうか?


社員に対する待遇はどうなのか、平均年収や福利厚生などの詳しい待遇や、松竹という企業の強みや求める人物像について、詳しくまとめていきたいと思います。


1.松竹の事業内容


松竹の経営方針は、「日本文化の伝統の継承、発展させ、世界文化に貢献する。」「時代のニーズをとらえ、あらゆる世代に豊かで多様なコンテンツをお届けする。」ということです。



松竹の事業内容には「映像事業」「演劇事業」「不動産事業」の3本の柱があります。


この3本柱について、一つ一つ見ていきたいと思います。


・映像事業


松竹の映像事業部では、映画の製作・宣伝・配給事業と、海外映画の買い付け・宣伝・配給、映像のライツビジネス、映像関連のイベント企画や運営などの業務を行っています。


松竹は古くから映像事業を続けており、ヒット作を数多く世に送り出しています。

最近では、「おくりびと」「ホットロード」などのヒット作が出ました。


「ラブライブ!The School Idol Movie」などアニメ映像にも力を入れています。


・演劇事業


演劇事業部では、歌舞伎の一般演芸の企画・製作・興行やイベントの企画・運営、直営劇場の運営、演劇のライツビジネスなどの業務を行っています。


松竹は、日本の伝統芸能である歌舞伎芸能を独占していることが、非常に大きい権利となっています。


近年では、人気漫画を舞台化した「ガラスの仮面」や、大竹しのぶなどが演じる「三婆」などという演劇も人気を博しています。


・不動産事業


松竹の三本目の柱は意外にも不動産事業で、ビルの賃貸事業や不動産の管理・開発業務をしています。


松竹が保有する不動産は、銀座で最も高い歌舞伎タワーや東銀座の複合ビル施設銀座松竹スクエアなどがあります。


他にも、歌舞伎グッズの専門店や競馬観戦型レストラン、煮込みハンバーグが美味しいレストラン、大人向けのカフェなどといった、松竹直営の店舗も存在します。


2.競合と比較した松竹の強み


松竹の競合他社と言えば、東宝、東映の二社です。


どの企業も昔から芸能界で大きな存在感を持ち、三社がそれぞれ独自色を活かしながら、芸能界を牽引しています。


その中で、松竹が持つ強みとは何なのかを見ていきましょう。


・歌舞伎芸能を独占している

松竹が持つ他の二社にない強みと言えば、やはり、歌舞伎芸能を事実上独占しているという点です。


400年続く伝統芸能である歌舞伎は他にはない日本独自の貴重な芸能文化であり、その価値は非常に高いものがあります。


日本の伝統芸能として人気が高く、高齢者だけでなく若者にも人気の広がりを見せています。


日本への外国人観光客が増えていることもあり、外国人による需要も高まっています。


さらに、歌舞伎の古い演目を続けるだけでなく、若い人向けに新しい演目を次々と作り出す努力もしています。


大人気漫画「ワンピース」とコラボしたスーパー歌舞伎「ワンピース」は、累計20万人を動員したほどの人気ぶりでした。


さらに、歌舞伎を海外に売り出す努力も行われています。


ラスベガスや中国で歌舞伎公演が行われ、それぞれ大盛況のうちに幕を閉じました。


このように、古い演目を守りながら新しいチャレンジもしっかりと成功しているため、歌舞伎芸能による売り上げは当分安泰でしょう。



・映画事業はまだまだ強い


松竹は1951年に「カルメン故郷に帰る」を国産初の「総天然色映画」として生み出した、映画事業における先駆的な存在でした。


その映画事業はいまだに強く、常にヒット作を生み出しています。


1969年~1995年まで続いた世界最長の映画シリーズとしてギネス国際認定を受けた「男はつらいよ」、日本初のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」など、多くのコンテンツを生み出しています。


映画製作の名門と言える松竹の映画事業はまだまだ強く、ヒット作を生み出し続けています。



近年はアニメ映画も好調で、「ホットロード」のヒットが記憶に新しいです。

他にも、「パトレイバー」や「紙の月」「ソロモンの偽証」などもヒットしました。


宮部みゆき原作の「ソロモンの偽証」では、1クラス33名の中学生役を演じるキャストを演技未経験者の中からオーディションで選ぶという新しい試みも行われました。


過去の名作に甘んじることなく、新しい試みを行っているという面でも、映画事業にはまだまだ強みを持っていると言えるでしょう。



テレビ業界とのつながりは東宝などの他の芸能事務所に負ける部分はありますが、松竹独自の強みもまだまだあります。


・平均年収は?福利厚生は?


松竹の社員への待遇はどうなっているのでしょうか?



松竹の平均年収は、有価証券報告書(H28.3.1H29.2.28)によると807万円ということでした。

平均年収が800万円というのは、高い水準です。



松竹の福利厚生制度は非常に整っています。


女性の産前産後休暇もしっかりと定められており、産前6週間、産後8週間は給料が全額支給されます。


その後の育児期間には就業時間の繰り上げ繰り下げが可能で、短時間勤務制度を利用することもできます。



さらに、「まつのこ たけのこ」という育児休業服飾支援プログラムも完備されており、育児休暇を終えた後でも育児と仕事が両立しやすい制度が整っています。

ベビーシッター費用の補助もあります。



こうした社員への待遇の良さも、松竹の強みの一つになっていると言えます。




3.どのような学生を求めているのか


松竹が求める人物像は、次のような人物です。


・日本文化の継承・発展のために仕事ができる


松竹が最も大事にしている事業が、歌舞伎という日本の伝統芸能です。

歌舞伎芸能は日本に400年伝わる芸能ですが、この歌舞伎という古いコンテンツを継続するだけでは足りません。

古来より続く日本文化を継承し、かつ、発展させることができなければ、意味がないのです。

松竹が求めるのは、日本文化を正しく継承し、さらに、お客様が喜ぶ形で発展させることができる人材です。


・多様なコンテンツを提供できるか


松竹は映画や歌舞伎、演劇など、多様なコンテンツを提供している企業です。

そのコンテンツは進化を続けており、お客様に喜んでもらうためには、さらに、新しいコンテンツを提供し続けなければなりません。

そのためには、過去に一度やったことがある手法を繰り返すだけではだめです。

新しく多様なコンテンツを提供し続けることができる人材を、松竹は求めています。


・人間に興味がある人


松竹が提供するコンテンツは、お客様を喜ばせるためのコンテンツです。

ということは、人が何を求めているのか、何をしたら喜ぶのかということが分かっていなければできません。

人が求めるものを提供できる人は、人間が好きな人、人間に興味がある人です。

人のことを良く理解し、人を良く見て、この人は何をすれば喜ぶのだろう?ということを常に考えられる人を、松竹は求めています。



4.まとめ


松竹について、事業内容と強み、松竹が求める人物像について見てきました。


松竹には伝統芸能の歌舞伎があるという大きな強みに加え、映画事業もまだまだ強く、不動産事業は地味ながらもしっかりと屋台骨を支えています。


社員に対する福利厚生も厚く、働きやすい環境でやりがいのある仕事ができそうな会社と言えるでしょう。



松竹が求める人物像をしっかりと理解し企業研究を進めてから、面接に臨むようにしましょう。