鉄道業界に就職をしたいと考えている方向けに特徴、仕事内容、志望動機を伝える上でのポイントについてまとめてみました。鉄道業界への就職活動の参考にしてみてください。




鉄道業界の現状

まずは鉄道業界の現状について説明をしていきたいと思います。この業界を深く理解するためにはまず「JRと私鉄の違い」について知ると、より解釈がしやすくなると思います。皆さんはJRと私鉄の違いについて知っていますか?

まずはJRについて。JRは日本で最大の鉄道事業者で、もともとは国鉄として都心〜各地方の鉄道インフラを張り巡らせていましたが、赤字路線が増えすぎたことを理由に1987年に民営化されました。現在は6つの鉄道会社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州)と一つの貨物鉄道(JR貨物)に分けられています。

一方で私鉄は、国からの支援を一切受けずに民間会社が経営する鉄道会社のことをいいます。経営が安定しやすい都市部での拡大を狙っている会社が多いのが特徴です。私鉄会社によっては飲食店、百貨店、ショッピングモール、不動産などの事業展開をしている場合も多々あります。代表的な大手私鉄は関東に5社(東武鉄道・東京急行電鉄・京浜急行電鉄・京王帝都電鉄・京成電鉄)と関西に5社(京阪神急行電鉄・京阪電気鉄道・近畿日本鉄道・阪神電気鉄道・南海電気鉄道)があります。おそらく聞いたことがある会社名ばかりではないでしょうか。

鉄道業界の平成27-28年の市場規模は14兆6,101億円でした。鉄道業界の過去の推移からすると、鉄道の利用者が増加したことによって、一時期低迷していた景気が回復をし始めました。順調な流れに乗ってきている鉄道業界ですが、まだまだ課題はいくつもあります。

最も大きな課題は「人口増加によって起こる過剰輸送の改善」です。「満員電車」という言葉が日常会話の中で飛び交うことが多く、世の中で当たり前になっている現象ですが、満員電車は時に死傷者も出す可能性もあるので、一刻も早く改善しなければならない深刻な問題です。既に現在でも路線の整備や電車の本数を増やすといった対策がなされていますが、さらなる改善が必要です。

次に挙げられる課題は「バリアフリーや安全対策の強化」です。今の日本は高齢化社会が問題視されていますね。お年寄りでもストレスがなく電車を利用できるように、エレベーターやエスカレーターといった設備の充実化、ホームドアの設置などを各駅に設置していくことが必要と考えられています。

最後に挙げられるのが「赤字路線の回復」です。これは地方路線に多くみられる課題です。地域によっては人口減少が著しく進んでしまい、駅の設備が不十分で使いにくいということや、車を多用する生活スタイルが進んでいるため電車を利用する人口が急激に減少しています。このような問題が起きることで資金が潤わず、さらに設備が老朽化していき、次第に利用者は数えるほどになってしまうとも考えられています。


鉄道業界の今後 

いくつもの課題を抱えている鉄道業界は今後に向けて新たな戦略を打ち出しています。

一つ目は「鉄道事業以外の分野を拡大させる」ということ。現在の日本では、1つの会社が1つの事業で経営をしていくことは困難となってきました。そこで鉄道業界も新たな事業の開拓を始めています。最近で言えば不動産や建築事業の拡大、コンビニのフランチャイズの提携数を増加させる、百貨店やショッピングモールといった商業施設の増加といった動きがあります。中でもICカード事業のさらなる展開は引き続き注目されています。各路線の乗り換え促進にも大きく貢献しているICカードは電子マネー分野での活躍も期待されています。小銭いらずでお買い物もできてしまうICカードはとても便利ということで、さらなる整備をする方向に向かっています。

2つ目は「観光列車の需要拡大を狙う」です。これまでの電車は目的地までの交通手段にすぎませんでした。現在は、豪華な内装や乗り心地に特化した観光列車の開発を進め、「あの観光列車に乗りに行きたい」という利用客を増やす動きが活発になりつつあります。この動きは赤字路線が発生しやすい地方路線で活発化されています。交通手段ではなく観光スポットとしての地位確立を狙う動きには期待がかけられています。

「鉄道業界で働く」とは

鉄道業界では主に9つの職種に分けられます。ここではその9つの職種について紹介をしていきます。

「経営企画」
経営企画は経営の方針決めから事業計画の立案・指示などを出す企業の中核となる職種です。全ての職種はこの経営企画でなされた判断のもと動いていきます。企業の今後を担う重要な職種です。

「人事」
人事は企業に新たな人材を取り入れる際に最適な人材なのかを見極めたり、人材の育成を行うといったことを仕事としている職種です。この職種では人間関係、コミニュケーションに関しての経験を蓄えることができます。企業内の人の声に耳を傾け、役に立つことができる職種です。

「総務」
総務は経営管理を主に務め、庶務や法務といったことも手がける職種です。幅広い知識とコミニュケーション能力が必要とされます。企業内で見落としがちな部分のケアをすることもあり、縁の下の力持ち的存在の職種です。

「経理財務」
経理財務は企業の経理を管理する業務や投資・資金調達といった「お金の面の管理」をメインにしている職種です。企業にとって最も大切なお金を管理する職種なので、より責任が重大です。企業が何かをする時には無くてはならない存在です。

「管理・整備」
鉄道業界の管理・整備には建設、車両、工務、電気といった分野に分けられています。管理・整備の主な仕事内容は車両整備計画を立てたり、線路や土木建造物の管理、車両の保守点検、管理から運行に必要な信号や通信機器などの設備の管理・指令などをします。基本的には屋外での過酷な作業が多くなるという部分は大変なことですが、利用者のために鉄道を走らせる上でとても重要な役割を果たしている職種です。

「営業・販売促進」
営業と販売促進では、営業管理、営業企画、販売促進、広告促進などの分野に分けられています。この営業・販売促進という職種はその鉄道会社も魅力や利便性を多くの方に知らせるための大切な役割を担っています。見せ方や伝え方の工夫次第で鉄道会社のイメージを大きく変えることができるやりがいのある職種と言えます。

「サービス開発」
サービス開発には鉄道サービス企画、ITサービス企画の2種類に分けられます。この職種では鉄道を利用する人々の流れやパターンをあらゆる角度から分析していき、より快適なサービスの提供ができるようにする役割を担っています。利用客の気持ちや意見にを身近に感じれて、それをサービスに反映することができるところがこの職種の魅力といえます。

「サービス提供」
サービス提供は鉄道事務、運行・管理、販売管理に分けられます。この職種は鉄道が安全に、ダイヤ通りに運行されるようにする役割を担っています。利用客との接点が最も多い職種で、多くの時との役に立っていることを一番実感することができる職種です。

「不動産開発」
鉄道事業の次に力を入れる傾向がある、企業にとって重要度の高い職種です。不動産開発は鉄道の沿線にある土地の開発から、マンション、分譲、戸建ての開発まで、「暮らし」という分野で幅広く貢献する職種です。鉄道業界にいながら街づくりに貢献できるという喜びが実感できる職種です。

鉄道業界 売上げ企業ランキング

ここでは鉄道業界に属する企業を売上TOP10までをランキング形式にし、TOP3の企業ついて解説を入れました。



1位JR東日本 28,671億円
2位JR東海 17,384億円
3位JR西日本 14,513億円
4位近鉄グループHD 12,179億円
5位東京急行電鉄 10,914億円
6位阪急阪神HD 7,073億円
7位名古屋鉄道 6,101億円
8位東武鉄道 5,743億円
9位小田急電鉄 5,298億円
10位西武HD 5,080億円

1位のJR東日本は1都16県の営業エリアを持ち、誰もが認める巨大インフラを構築している企業といえます。その他の企業に比べて運輸事業に加えてサービス事業にも幅広く力を注いでいるのが特徴的です。

2位のJR東海は東海道新幹線を収益の基盤としている企業です。日本の大動脈とも言われている東名阪エリアでの営業が盛んなJR東海は、大きな強みを誇示しているといえます。

3位のJR西日本は地方創生にも尽力を注いでいる企業です。エリアは九州、中国、近畿、北陸の2府16県にわたります。鉄道事業の他に販売事業にも力を入れており、地方創生にふさわしい地域に根ざした企業の取り組みが特徴です。

鉄道業界 採用される志望動機のポイント

鉄道業界で採用されやすい志望動機のポイントがいくつかあります。なかなか志望動機が浮かばないという方は、この中から自分に合っている志望動機を参考にしてみるといいかもしれません。

「人々の役に立ちたい」
鉄道業界を通じて、世の中の人々の役に立ちたいという志望動機です。鉄道インフラは今の社会になくてはならない存在です。会社に行くのにも買い物をしに行くのにも物資を運ぶのにも、必ずといっていいほど鉄道インフラが利用されています。無くてはならない存在だからこそもっと人々の役に立てるんだという意思表示はとても大切であると言いえます。

「自分の”好き”を活かしたい」
日常的に鉄道を利用する人の方が多い状態であると同時に自分も鉄道を利用してきたという方の志望動機です。よく利用していた路線の詳しさや慣れ親しんだ経験から、その鉄道を好きであるという気持ちを表した志望動機です。

「地域貢献をしていきたい」
鉄道が身近な存在であるということから、地域に貢献したいという考えが伝えられる志望同期です。鉄道業界には、地域開発事業にも力を入れている企業が多いので採用されやすいといえます。

まとめ

今回は鉄道業界に就職をしたいと考えている方向けに、鉄道業界の特徴、仕事内容、志望動機を伝える上でのポイントについてまとめてみました。いかがでしたでしょうか。鉄道業界は今後もさらなる発展が期待されている業界の一つです。鉄道業界での就職を希望されている方は、就職活動が優位に進むように企業研究をしていきましょう。