エントリーシート(ES)は就職活動の第一歩であり、あなたの第一印象を決める非常に重要なものです。エントリーシートの出来不出来が、就職活動の結果に大きく影響するといって過言ではありません。

エントリーシートはこれといった唯一の形式があるものではないです。正解がないからこそ、書き方について多くの人が悩んでしまうのです。しかし、いくつかのポイントをおさえるだけでうまく書けるようになります。今回は書類選考を突破するエントリーシートを書くためのコツや注意点について紹介します。



【目次】
1.エントリシート(ES)の書き方
2.エントリーシート(ES)を書く上で気をつけるべきポイント
3.【例文付き】エントリーシート(ES)で聞かれるよくある項目
-志望動機・自己PR(強み、弱み)
-学生時代一番頑張ったこと
-趣味・特技
4.良いESを書くためにするべき対策って?
5.エントリーシート(ES)の書き方に関するおすすめの本
6.まとめ


エントリーシート(ES)の書き方

■エントリーシートの目的

はじめにエントリーシートの目的について確認しましょう。エントリーシートは何のために作成するものなのか、この点を把握しておくと自ずと書き方のコツが見えてきます。

エントリーシートは、応募する企業に対して、あなたの履歴、資格、自己PR、志望動機などを伝えるためのものです。つまり、ビジネスにおけるあなたという人材を端的に示すものなのです。このことからエントリーシートには、あなたについての情報が読みやすく、網羅的に記載されている必要があります。

内容がいくら魅力的であっても、改行や番号がなく、すべてが一文で書かれているように読みにくいエントリーシートは評価が低くなる傾向があります。またあなたがどんなに打ち込んでいる趣味を持っていても、その趣味だけで埋めてしまってはいけません。
エントリーシートは限られた文字数で、企業に対して、あなたをいかにわかりやすく、魅力的に売り込むことができるかが重要になるのです。

■エントリーシートを上手く書くポイント

上述したことをふまえると、エントリーシートを上手く書くポイントは以下のとおりです。

・簡潔な記載を心がける
・文章の流れは、結論→理由とする
・伝えたいことは絞る
・面接に繋がる内容を書く
・自分の経験を書く
・具体性をもたせる


エントリーシート(ES)を書く上で気をつけるべきポイント

ここからは上述した書き方のポイントをふまえて、選考を勝ち抜くエントリーシートを書く上で気をつけるべきポイントについて具体的に解説します。

ESを企業に提出する前に、これらの事項がしっかり守れているか、再度確認してください。

・簡潔な記載を心がける

エントリーシートを書く際、力が入ってしまい過度に修飾語を使用したり、一文が長くなる場合があります。しかし、これらは文章を読みにくくするだけです。過度の修飾語は避けて、一文を短く記載するようにしましょう。

・文章の流れは、結論→理由とする

文章をわかりやすくする場合、はじめに結論を述べて、次に理由を述べる必要があります。そうすることで、読み手が結論を頭に入れた状態で、理由の正確性や説得性を判断することができるためです。エントリーシートの作成に慣れていない人は、はじめに長々と経験や理由を述べて、最後に結論でしめようとする傾向があります。これは読みにくさに繋がるので、避けるように心がけてください。

・伝えたいことは絞る

エントリーシートにはあなたに関する様々な情報が盛り込まれますが、特に伝えたい箇所は詳細に記載し、他の部分は簡潔に書く必要があります。そうすることで、内容にメリハリがつき、読み手の印象に残ります。すべての情報量が均一で平坦な印象のエントリーシートは記憶に残りにくいです。

・面接に繋がる内容を書く

あくまで面接に繋げるものであるため、エントリーシートだけで内容を簡潔させずに面接を想定した記載が求められます。

例えば、エントリーシートに「学生時代にボランティア活動に打ち込んだ」旨のみ記載をしておくと、面接で「なぜボランティア活動を選択したのか?」といった、あなたが他の活動ではなくボランティア活動を選択した「理由」が聞かれる場合があります。
作成する段階で理由まで考えておき、あえてそれをエントリーシートには記載しないことで面接官の質問を誘導する箇所を作ることができるのです。また読んだ企業の担当者に、あなたについてもっと知りたいと思わせることで次の面接に繋がる可能性を高くすることもできます。

・自分の経験を書く

あなたの主張やスキルについては、なぜそう思ったのか、どのような経験からそのスキルを身につけたのかといった理由を書く必要があります。そうすることで、主張やスキルの説得力が増すためです。その際、理由についてはあなたの実際の経験を書く必要があります。面接官は、あなたの上っ面を知りたいのではなく、あなたがどんな経験を積み、そこからどんな主張やスキルを得てきた人物なのかを具体的に知りたいのです。エントリーシートではあなた自身を「点」ではなく「線」で表現することを心がけましょう。

・具体性をもたせる

エントリーシートの内容にはなるべく具体性を持たせるようにしましょう。特にあなたの主張やスキルの裏付けとなる理由の部分は、あなたの実際の経験を具体的に説明する必要があります。抽象的ですと説得力に乏しく、面接官の目にとまりにくいのです。

・誤字脱字・話し言葉に注意

当然ですが、提出する際は誤字脱字のチェックを徹底しましょう。また、記載は書き言葉を用いて行います。敬語を使用していても、話し言葉によるエントリーシートは低い評価になる傾向があります。

【例文付き】エントリーシート(ES)で聞かれるよくある項目

以下ではエントリーシートでよく聞かれる質問を項目ごとに紹介します。これらの項目について、深く考察しつつ作成することができると、それは面接に直接活かすことのできるものとなります。


・志望動機

どの企業でも必ず聞かれるのが、「なぜ自社に入社したいのか」という志望動機です。
企業に評価される説得力のある志望動機には2つのポイントがあります。



2つのポイントとは、「なぜその企業でなければだめなのか」という理由と、「なぜ自分でなければだめなのか」という理由です。

1つ目の「なぜその企業でなければだめなのか」に答えるためには、企業の事業内容や強みといった企業像と、企業が求める人材像がどのようなものかを企業研究によって理解する必要があります。
それに対して、「なぜ自分でなければだめなのか」については、自己の強みや将来やりたいことを自己分析して、企業が求める人材像に自分が合致しているかを説明する必要があります。

ここで、外資系メーカーでマーケティング職のインターンを志望する場合の例文をご紹介します。

私の強みである敏感な感性と論理的な思考力を活かせるのが貴社のマーケティング職であると感じました。
消費財メーカーの中でもトップのマーケティングスペシャリストを有する貴社では、他社では学ぶことができないような専門的知識を、若いころから裁量権を持った仕事を任せてただけることで培うことができると思います。
また、将来的に海外でリーダーシップを発揮した活躍をできる人材になりたいという目標があるため、マーケティングだけではなくプロダクト開発の運営を任せてもらえるような貴社で働きたいと考えています。
今回のインターンシッププログラムでは、実際のデータを論理的に分析し、自分なりの感性を活かしてインパクトのあるPR方法を発案したいです。
個の志望動機では、自分の強みが「敏感な感性と論理的思考力」であり、それがマーケティングのスペシャリストが多くいるその企業でどのように活かすことができるか具体的に書かれています。

志望動機の書き方についてより詳しく知りたい方はこちら


・自己PR(強み、弱み)

続いて、こちらも聞かれる頻度がかなり高い自己PRについてです。
この自己PRでは自分の強みだけでなく、弱みも聞かれることがあります。

何となく強み・弱みを書くのではなく、「自分が周りからどのように評価されることが多いか」「過去の経験で強みを発揮できた経験は何か」「これまでで失敗した経験はあるか」といった自己分析をしっかりとして、それがその企業や職種でどのように活かせるかということにつながる自己PRをしなければなりません。

自己分析の詳しいやり方やポイントについてはこちら

自分の弱み・短所を聞かれた時の対処法はこちら


・学生時代一番頑張ったこと

多くの大学生がどう書けばいいか悩むのが、「学生時代一番頑張ったこと」。
通称「ガクチカ」と呼ばれ、ESや面接で必ず聞かれる質問といっても過言ではありません。
こちらも、ただ「サークル活動を頑張った」「ゼミの研究に力をいれた」などと書くのではなく、その中の具体的なエピソードを通じて自分が学んだこと・成長したことにつなげ、自分の強みが何であるかをアピールしなければなりません。

ですから、自己分析の際に失敗体験や困難だった体験が何だったかを洗い出して、一番自分が変化した・成長したといえる活動をかくようにしましょう。
その際、自己PRで記述したことと矛盾がないようにすることも気をつけましょう。

ガクチカについて、詳しくはこちら


・趣味・特技

趣味と特技はあなたの個性をアピールするためにうってつけです。しかし、良い恰好をしようと実際には趣味でも何でもないものを趣味として記載する必要はありません。
それは面接官は「あなたの趣味が何であるか」ではなく、「あなたが趣味を通して得ているもの」「どんなことに興味がわくのか」を見ているためです。

学生時代に一番頑張ったことと同じで、ただ「私の趣味は○○です。」と書いても意味がありません。
なぜその趣味を持ったのか、その中でどのような点に一番心が動くのか、自分がどのように変化・成長したかということを一緒に考えるようにしましょう。


良いESを書くためにするべき対策って?

ここまでESでよく聞かれる質問や回答のポイントについて解説してきましたが、良いESを書くために日頃から対策できることはあるのでしょうか。

前の章でも述べましたが、ESを書くためには企業研究自己分析が欠かせません。

企業研究については、①企業のHP②短期インターン➂企業説明会④OB訪問といった方法で対策できます。
企業のHPを見るだけではなく、より深い企業理解をするためにインターン・企業説明会への参加やOB訪問も積極的に行うようにしましょう。

自己分析については、日頃から自分がどんなことに関心を持って心を動かされているのか、これまでの経験で自分が変化・成長した経験は何かを考えておく必要があります。
自己分析は企業研究に比べて決まった方法はなく、手探りで深めていく必要があります。

「自分がどんな仕事に興味があるか」「自分の強みは何か」「将来やりたいことは何か」といったことの理解が深めてみてください。


エントリーシート(ES)の書き方に関するおすすめの本

以下ではエントリーシートの作成について学ぶことのできるおすすめの書籍を紹介します。しかし、すべての本には個性があるため、可能であれば複数の書籍を購入し、それらに共通する普遍的な要素に従ってエントリーシートを作成することが最善の手段です。

・『東大で生まれた究極のエントリーシート』

・『内定者はこう書いた! エントリーシート・履歴書・志望動機・自己PR 完全版 2019年度』

・『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?: 人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる』

上記の書籍はエントリーシート作成の具体的な方法論を述べたものから、会社の人事や選考についての内実を述べたものがあります。会社の内実を知っておくことで、人事担当者に良い印象を残すものを作成することができるようになります。
時間があるのであれば、エントリーシートについて様々な側面から書いた書籍を読んでみましょう。


まとめ

以上のポイントをふまえてエントリーシートを作成することで、就職活動を有利に進めることのできるものを書き上げることができます。エントリーシートは応募する企業に対して、あなたの履歴、資格、自己PR、志望動機などを伝えるためのものです。この目的から逸脱しないように注意をした上で内容を決めていきましょう。
また選考が進むと必ず面接の機械が訪れます。エントリーシートは面接の際にも重要視されるものであるため、作成の段階から面接を想定しておくことをおすすめします。紹介した書籍を参考にし、あなたの魅力を最大限に発揮することのできるエントリーシートの作成に着手してみてください。