ゲーム業界の現状
平成27年ないし28年のゲーム業界の市場規模は、主要なもののみを対象としても3兆6971億円と相当な規模に上っており、娯楽でありながらも、日本経済からしてみれば看過できないほどの大きな産業に位置づけられています。
労働者については2万5000人弱、平均年齢については35歳弱となっており、他業種に比べ明らかに若手が多いことが特徴の業界といえます。
平均年収については600万円を超えるものとされ、一般平均の440万円と比較すれば相当高収入と評価できます。
ゲーム業界の課題と今後
・ゲーム業界の課題
日本国内で販売されているゲームには、海外でも相当人気なものも存在しているものの、近年のゲーム業界は、海外進出に際して特に苦戦しているようです。
なぜなら、日本と海外とでは、趣味嗜好が異なっているために、これが大きく災いしているからです。
日本で人気のあるゲームの傾向は、アクションゲームやRPGなどですが、これに対して海外ではリアリティが求められている傾向が強いといえ、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)が持て囃されているのです。
海外進出の壁をいかにして打破するかが今後のゲーム業界としての成功の秘訣といえるのではないでしょうか。
2000年代中頃あたりまでは、ゲーム業界は軒並み成長を続けてきたものですが、2008年あたりから、この傾向が緩和されていき、停滞に至ったといえます。
ただ、この翌年である2009年からは低迷していき、この低迷が2011年あたりまで継続しています。その理由は、家庭用ゲーム機に関するものと考えられる余地があるといえ、ある程度の普及によって需要が減少したことに起因しているものといえます。
ただ、2012年あたりからは、スマホゲームによって巻き返す一方となり、この翌年ついに市場規模が増加に至ったのです。
ゲーム業界における活況の成否を分けるポイントとして、コンテンツの提供に留まらず、ハード面からしても、新たな製品に期待したいものですね。新たなテクノロジーを用いたVRなどにも期待されますが、現在のプレイステーション4などの高級機になり変わるハードの開発によって、混迷にあったゲーム業界が息を吹き返す余地もあるといえます。
他方、オンラインゲームやスマホゲームについても、続々と新作が登場しており、売れ行きが好調のようです。今後の課題としては、課金システムを優越するほどの画期的なシステムが誕生することによって、これまでの家庭用ゲーム機を覆すほどの産業への発展に期待されます。むしろオンラインゲームが今後の家庭用ゲーム機の延長に位置づけられるものと考えられます。
・ゲーム業界の今後
ゲーム業界の今後としては、置かれている現状の課題をいかにしてクリアしていくかにかかっているといえ、これにより今後の存立が左右されてくるといっても過言ではありません。
上記で述べたコンテンツに係る課題に加えて、少子化による売上の低迷が顕著であることから、これに対して、いかにして大人に対しても訴求し得るゲームを開発していけるかも今後の課題ともいえますね。
ゲーム業界各社紹介&売上高ランキング
1位:ソニー株式会社
ゲーム業界で首位を獲得しているのはソニーとなっており、ゲーム事業に係る部分だけでも売上高は9792億円となっています。デジタル機器などそのほかの事業においても顕著なソニーですから、そうした持ち味を活用してゲーム業界でも大きく売上を伸ばすことができたといえます。具体的には、グラフィックや音質など、映像・サウンド面について好評を博しています。
2位:任天堂株式会社
2位に位置づけられているのが任天堂であり、売上高については5717億円となっています。ゲーム業界といえば、1位のソニーよりも老舗メーカーである任天堂のほうが顕著な人も少なくないでしょうね。任天堂のウリはそのキャラクターや作品自体にあるといえ、これが根強い人気を博しているといえるでしょう。任天堂の方針としては、課金システムについて、ユーザーとの関係維持のために行わない旨を掲げています。
3位:バンダイナムコホールディングス
3位にランクインしているのが、バンダイナムコHDで、2615億円もの売上高を誇っています。従来のバンダイやナムコなどを包含しており、コンテンツについて多様化していることが特徴で、これにより多角的な経営を可能としています。
「ゲーム業界で働く」とは
ゲーム業界には、様々な職種がございます。
・ゲームプログラマーとは
まずゲームプログラマーですが、ゲーム業界のなかでも主要な職種となっています。プログラムにより、映像や音楽などが初めて混在し、1本のゲームとなっていくために、極めて不可欠なものといえます。
ゲームプログラマーは、ゲームの製作に携わり、プログラミングを行っていきます。C言語やC++などといった言語が有名なのですが、これらを駆使していきゲームの作動のための作業を実施していきます。そして、プログラミングのみならず、デバッグと呼ばれる修正作業などもプログラマーの職務内容です。
プログラマーにとって重要なことが、企画段階からプログラミングをどのようにしていくかを策定することであって、さらに他の職種との関連性についても考慮の余地があるために、相当重要なポジションといわざるを得ません。
近年でのゲームプログラマーに求められるスキルは、スマホの普及のために、JavaやFlashに加えてHTML5など多岐にわたっています。
・ゲームプロデューサー・ディレクター・プランナーとは
ゲームプロデューサーやゲームディレクター、あるいはゲームプランナーとは、ゲームの企画ないし制作に携わる職種です。いくらプログラマーがいたからといっても企画がなければゲームの制作は始まりません。
そのゲームがどのような世界観を有しているかや、どのようなキャラクターが登場し、とのようなシステムを有しているか、どのようなプレイ方法にしていくかなどといった包括的なものから、ジャンルやターゲット、シナリオなどといった役割分担など制作に係る進行などに至っても担当します。
・グラフィックデザイナーとは
グラフィックデザイナーは、キャラクターの原案や背景などのグラフィックを担当します。近時では、2Dと3Dとで担当が異なることも多々あるようですが、3Dゲームが増加してからは、仕事量が膨大になり必要とされる人数も増加しています。
・その他の職種
サウンドクリエイターやシナリオライターなどもゲーム業界の職種として存在するものの、募集枠がないか極めて少ないかのいずれかであって、就業することは熾烈を極めており、欠員補充を狙うほかはないといえるでしょう。
サウンドクリエイターは、作曲家に相当するサウンドコンポーザーと、効果音やエフェクトにつき機材を用いて作成していくものとに大別されます。2000年代までは、効果音についてもハードを駆使して作成しており、就業するに際しての応募にさし当たってもどのような機材を有しているかを問われたほどだったのですが、現在はほぼソフトでの完結となっています。絵に対して後付するという作業工程は過去も現在も同様のようですね。
まとめ
どの業種であろうとも変化は目覚ましいものがあるのですが、そのなかでも特に顕著なのがゲーム業界といえるでしょう。その激流に飲まれない、あるいは激流に巧みに沿い活用していくためには、新たなものを創造していくためのアイディアや斬新さが求められてきます。他業種に比べ若手が多く、平均を大幅に上回る高収入が魅力的なゲーム業界。業界の苦慮する海外進出やコンテンツ面、さらにはハード面について、いかにして打破するかが今後のゲーム業界としての成功の秘訣といえるでしょうね。
興味を抱いている人はゲーム業界の未来を変えるためにゲーム業界を目指してみてはいかがでしょうか。