近年スターフライヤーやAIRDOなどの独立系のLCCが注目を集めていますが、それでも日本の航空業界の二大巨頭はANAホールディングスと日本航空です。ANAはAll Nippon Airwaysの頭文字をとった名称で正式名称は全日空空輸株式会社という名前になっています。平均年収は800万円前後で推移しており上場企業の中でも高給の部類に入りますし、また鉄道や電力などのように社会を支えるインフラの一つなので経営も安定していると言えます。このような理由から東洋経済ONLINEが2017年に発表した「就職人気ランキング」トップ300社では総合で1位、学情が発表した2018年卒「就職人気企業ランキング」でも1位という風に全企業の中でもトップの人気を誇っている企業だと言えます。本記事ではそのようなANAの特徴や選考対策についてまとめました。

ANAの主な事業内容は?

まずはANAの主な事業内容について説明します。ANAの主な事業は航空運送事業です。第二次世界大戦での敗戦後日本はGHQに航空機の運航が禁止されており、禁止が解除された1952年に東京を中心に事業を行う日本ヘリコプター輸送と大阪中心の極東航空という会社が設立されます。この2社が運輸省の方針によって1957年に合併し今のANAとなります。

航空運送事業と言う事で、飛行機を使用した旅客や貨物の運送を行っていますが、更に分類すると、国内線か国際線かで2パターン、旅客か貨物か郵便かで3パターンであわせて3×2=6パターンの事業に分類する事ができます。航空運送事業の売上約1兆5000億円のなかで一番売上比率が高いのは国内線の旅客運送で約6800億円、次いで国際線の旅客運送で約5200億円と7割以上が旅客運送事業によって作られています。ちなみに、次いで多いのは国際線の貨物運送で約930億円となっています。

更に、ANAグループという単位で考えた時に更に事業は拡大します。ANAは昔からあるオーソドックな航空会社ですが、Peach Aviation、バニラ・エアのようなLCC系の航空会社も傘下に収めています。また、航空機による乗客や貨物の運送以外の事業も行っており、空港でサービスを行う空港地上支援という事業を各空港で子会社を作って行っていますし、航空機の整備や航空機操縦士の養成など飛行機に関わる事業を総合的に行っています。また、飛行機だけに留まらず、ANAグループに対してサービスを行う、不動産・保険ビルメンテナンス事業、人材・ビジネスサポート事業、調査研究・シンクタンク、IT事業など幅広い事業を行っています。

競合と比較したANAの強み

では、競合と比較した時にANAにはどのような強みがあるのでしょうか。ANAはJALと並んで日本の航空業界をリードしている企業だと言われています。しかし、JALは一度2010年に経営不振・債務超過を理由に会社更生法の適用を受けて2011年まで会社更生を受けていました。そのため、JALグループの連結売上約1兆3000億円にたいしてANAホールディングス1兆8000億円とANAの方がリードしています。また、3位以降は3位日本郵船約850億円、4位パスコ約530億円とANAとJALが航空業界で圧倒的な売上規模を誇っている事がわかります。また、世界で比較してもANAは売上高トップ10に入る大きな航空会社です。

このような業界トップであるというのがANAの強みで、2016年には国内線・国際線ともに日本の航空会社では売上高・座席キロ・旅客キロ・旅客数ともにトップとなっています。このように顧客基盤の確固さから、2015年にはANAマイレージクラブカードの発行枚数2800万枚を突破し、2018年度から20年度の中期経営計画によれば、今後顧客基盤とICTを組み合わせたノンエア事業で新たな事業モデルを確立して収益性を向上させる事を計画しています。

そして、ただ規模が大きいと言うわけではなくサービスの品質についても定評があります。2017年にはSKYTRAXにより航空会社として世界最高の「5スター」という格付けを5年連続で獲得しています。更に、日本初のLCCのPeach Aviationに出資したり、ボーイング787型機の開発から参画して世界初の導入を行うなど既存事業を守るだけではなく革新的な挑戦も行っています。この様にサービスの品質や革新性についても高い評価を得ている会社です。

また、旅客運送事業という安定した収益源を武器に事業展開を積極的に行っている事も強みだと言えます。先ほど事業内容の部分で説明した通り、旅客や貨物の運送に留まらず、パイロットの育成や空港地上支援や航空機の整備など飛行機に関連する様々な事業を展開する総合空運会社となっています。

ANAはどのような学生を求めているのか

以上のようにANAは魅力的な企業であり、冒頭で説明したとおり就活生からの人気もとても高い企業ですが、どのような学生を求めているのでしょうか。2016年度卒の新卒採用は88名の新卒採用を行っていました。同じく人気の就職先のメガバンクの場合、1000名以上の採用を行っている事を考えれば、極めて狭き門だと言えます。採用の際にリクルーターを使っていないようなので、特定の大学を重視しているという事もないと考えられます。


そうした前提の上でANAでは求める人材について以下のように説明しています。2015年末に日経ビジネスONLINEがANAの人材戦略室のマネージャーに行ったインタビューによると、ANAについて「「変化に強い、変化が好きな人が多い」というのが社風です。」と答えています。更に総合職はアグレッシブで主体性があって自分から動く人が良いという風に説明しています。また、同時に総合職の場合は地道な事をできるかどうかも見ていると答えています。

エントリーシートについては、抽象的に書かれているものではなく事実や経験に基づいてしっかりかけている方が評価は高く、特に短期間のものよりしっかり継続的な体験の方が説得力はあると答えています。エントリーシートも面接も変わった質問をせずに、素のままを知りたいし、何時間をかけて何を感じている人なのかを見極めようとしているようです。

なお、ANAの別の人材戦略室の型も2015年の読売中高生新聞の取材に対して「自らアイデアを出し、行動できる人」を求めていて、人物重視での採用を行うと説明しています。

このようなことから、ANAではアグレッシブで行動力のある人を求めており、その様な人物の見極めを行う為に人物重視の採用を行うと考えられます。このような理由からANAの採用対策を行うにあたってはしっかりと自己分析を行う必要があると考えられます。

まとめ

以上のように、ANAについて説明してきました。日本一の航空会社でANAというブランドの素晴らしさは言うまでもありません。また、LCCによる業績拡大もおこなっておりピーチやバニラ・エアなどのLCCのブランドも徐々に知名度も上げつつあります。ANAグループでは今後ANAブランドの顧客基盤をいかしたノンエア事業も積極的に展開しています。このように、日本の総合空運会社として確固たる地位を築いている会社だと言えます。就活生にとっても人気の企業で毎年色々な団体が行っている就職人気企業ランキングで最上位に入っている会社でANAに入社したいという人も多いと考えられます。

ただし、毎年就活生に人気の高い会社でありながら採用数が絞られているために難関の就職先だと言えます。ただし、リクルーター制度など特定の大学が有利になるような制度を使わずに、人物重視でその人の内面をきちんと見ようとしてくれるので、フェアであるとも考えられます。

求める人物像はアグレッシブで行動力のある人で、人物を見極めようと真剣に向き合ってくれるので、内定を獲得するためには就活生側もしっかりと自己分析を行って自分の魅力を採用担当者に十分伝える必要があります。