就職活動を行う際には、目指す業界の業界研究をすることが重要です。


今回は、ブライダル・冠婚葬祭業界について調べてみました。

結婚式場や葬儀場への就職を希望している人たちは、ぜひ参考にしてみてください。




  1. はじめに


結婚式と葬式は一見全く異なる世界の式典のように思えますが、意外と共通点があります。


それは、どちらも人が生きていく中で人生に一度しか行われない式典であることです。

もちろん、何度も結婚式を行う人もいるかもしれませんが、基本は一回です。


そして、どちらの式典も、日常生活とはかけ離れたところで行われる、特別な式典であるということです。


ブライダル業界と冠婚葬祭業界、それぞれの業界についての最新情報をしっかりと得ておくことで、それぞれの業界における就職活動がスムーズに進むでしょう。


  1. ブライダル業界について


ブライダル業界といえば、女性にとっては華やかで憧れの業界ではないでしょうか。

これから新生活を始めるカップルのために、一生に一度しか行われないハレの儀式をプロデュースするやりがいのある仕事をすることができます。


女性があこがれる業界、ブライダル業界について詳しく調べてみましょう。


2.1現在の概要


ブライダル業界とは結婚式場などで挙式サービスを行う業界のことです。

結婚式を専門に行う結婚式場以外にも、レストランやホテルと提携してレストランウェディングやホテルウェディングを行う業者、教会、神社などを利用して挙式を行う業者、海外で挙式を行う業者など、レストランやホテル、旅行業界とも密接な関係があります。


近年では、写真だけの挙式を行う、小さい会場で挙式を行うなど多種多様なウェディングプランが用意されています。


経済産業省の調査による、平成28年度のウェディング業界の情報は以下の通りです。

年間売上高:約2,297億円

従業者数合計:約1万4千人

事業所数:301社

(引用:http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-2.html)


売上高や従業員数は若干の減少傾向にあります。

少子化や晩婚化などの影響があると考えられます。


仕事内容としては、新郎新婦に会場やプランについて説明し演出の提案を行うウェディングプランナー、式当日の運営を行うブライダルディレクター、司会者、新郎新婦のヘアメイクやメイクを行うスタイリスト、エステティシャン、式当日に新郎新婦の身の回りの世話をするアテンダーなどがあります。


結婚式が行われるのは通常土日祝日ですし、仕事が休みでないとウェディングプランの検討のために来店することができません。

そのため、土日祝日は必ず出勤日になります。


2.2主要企業と特徴


ブライダル業界大手企業の売上高ランキングは次の通りになっています。


1位 テイクアンドギヴ・ニーズ  607億円

2位 ワタベウェディング 477億円

3位 ベストブライダル 474億円

(引用:https://careerpark.jp/38931)


一位のテイクアンドギヴ・ニーズは結婚式場経営を主に手掛けており、全国にチャペルやカフェスペースなどを備えた一軒家の完全貸し切りスタイルの式場を展開しています。

この会社が若い人たちをターゲットにしたハウスウェディングのスタイルを主流にしました。


2.3業界の課題


ブライダル業界が直面している最大の課題は、何と言っても少子化や晩婚化による婚姻人口の減少です。

結婚する若者が減っていることと、若者の収入が減り高額な結婚式を挙げる財力が無いことから、ブライダル業界の売り上げは年々減少しています。


そんな中、小さい規模の結婚式や若者が好む形式の結婚式など、今までの常識のとらわれない新しいタイプの結婚式のプロデュースが求められているのです。


  1. 葬儀業界について


減少を続けるブライダル業界に対し、高齢化のため堅調なのが葬儀業界です。

その最新事情について見てみましょう。


3.1現在の概要


経済産業省の調査による平成28年度の業界の情報は以下の通りです。


年間売上高:約5,996億円

従業者数合計:約2万3千人

事業所数:2,291社

(引用:http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-2.html)


売上高は急激に増えているわけではありませんが減少することもなく、順調に推移しています。


葬儀業者の仕事内容は次の通りです。

家族を亡くした遺族からいつ連絡が入るかわからない状況の中、連絡が入るとすぐに出向いて葬儀のプランを遺族と一緒に決めます。

遺族に寄り添いながら、葬儀で使う祭壇や花、会場や香典返しなどについて一つ一つプランを決めていきます。

プランが決まると業者にその旨を手配するのも葬儀業者の大事な仕事です。

そして、プラン通りに式場の設営を行います。


そして、納棺後に、通夜、葬式の当日に式を取り仕切ります。

式における司会を行う場合もありますし、式場内で弔問客への会場案内や受付、飲食の接待なども大事な仕事です。


葬儀はいつ入るかわかりませんから24時間対応できるようにしておかなければなりません。


葬式の依頼が入ると行う仕事は以上のようなことですが、普段は営業活動を行います。

休日にセレモニーフェアを開催したり、一軒一軒家を回って営業活動をしたり電話をしたりすることもあります。


3.2主要企業と特徴


葬儀業界企業の売上高ランキングは以下の通りです。


1位:燦ホールディングス:185億円

2位:ティア:102億円

3位:平安レイサービス:80億円

(引用:https://gyokai-search.com/3-sougi.html)

(引用:https://shukatsu-mirai.com/archives/51777)


業界シェア一位の燦ホールディングスは傘下に葬儀業界の企業を4社持つ、業界最大手の葬儀業者です。

東証一部に上場し、葬儀事業だけではなく調理や生花など他事業も手広く展開しています。


3.3業界の課題


高齢化が進む中、葬儀業界の売り上げが極端に下がるということは考えにくく、堅調な市場は続くと考えられています。


しかし、堅調な葬儀業界でも課題はあります。

近年、価値観が多様化し、葬儀の形は大きく変わってきています。

若い人たちの中には、無理に高額な費用を払って大規模な葬式を行う必要などないという人も多くなっています。

従来のような葬儀場で大規模におこなわれる通夜や葬式は、もはや主流ではありません。


家族だけでひっそりと行う家族葬、親しい友人だけで和やかに故人を見送るパーティー形式の葬式など、新しい形を取り入れなければならないでしょう。


4業界の新しい取り組み


・ブライダル業界の新しい取り組み


近年、若者層の収入の減少や価値観の多様化に伴い、従来のような豪華な挙式を挙げる新郎新婦は減っています。


そんな中、様々な価値観に対応する挙式サービスを展開する企業が増えてきました。

さらに、挙式サービスだけでは立ち行かなくなることが予想されるため、旅行業界や結婚後の新居の紹介サービスなど、手広く事業を広げるブライダル業者も現れています。


利用者が確実に減っているブライダル業界では、このような新しい取り組みを行わなければ生き残ってはいけないでしょう。


・葬儀業界の新しい取り組み


高齢化が進む中今後も需要はますます拡大すると予想されている葬儀業界ですが、従来のような豪華な葬式を行う客層は確実に減り、単価は低くなっている傾向にあります。


そんな中、簡素な葬式を行いたいというニーズに合わせ、簡素化された葬儀プランや、価格がわかりやすいパッケージプランの導入が求められています。

家族がゆっくりと泊まれる個室やバストイレが付いた設備を完備した家族葬や、親しい人たちだけを呼んで行われるお別れ会など、ニーズは多様化しています。

そんな新しいプランに対応した新規企業も市場に参入してきているため、競争はますます激化するでしょう。


従来の葬儀業界にはない、新しい流れを呼び込む必要があると言えそうです。



5最後に


ブライダル業界と葬儀業界について、業界研究を進めてきました。

利用人口が減りつつあるブライダル業界と、利用人口が増えつつある葬儀業界でしたが、どちらも従来通りのサービスを提供し続けるだけではこの先厳しいことが予想される、ということがわかったと思います。


これらの業界に就職したいと考える人たちには、今までの業界の流れや仕組みを理解しつつ、若いからこそ提案できる新しい仕組みやサービスを考えることが求められていると言えるでしょう。