教育業界に就職をしたいと考えている方向けに教育業界の現状、今後の将来性についてまとめてみました。教育業界への就職活動の参考にしてみてください。




教育業界の現状

教育業界の平成27〜28年の市場規模は9,070億円でした。業界全体の業績は上がってきていると言えます。

従来の教育業界は大勢に学習をさせるといった大雑把な取り組み方でしたが、現在はインターネットの発達により個人個人に向けた学習が可能となり、さらには映像や画像などを駆使した学習コンテンツが豊富なりました。塾や予備校に通って学習をするだけではなく、スマートフォンやタブレットなどのツールを使った教材によって多角的な教育が可能となってきたということです。

また、少子高齢化が問題視される中、大学受験に向けた高校受験、高校受験に向けた中学受験、といったステージごとに進学の準備をする傾向があり、その対策として予備校の利用者が増加してきました。それと同時に一世帯における子どもの人数も減少しているため、一人の子供にかける教育費が高くなっているということが教育業界の業績が上がったことも原因の一つと言えます。こうして教育業界の需要が高まったことにより、同業他社同士の争いが過激化が起こっており、企業と企業の合併も発生しています。

これからの教育業界の課題は「大学入試に向けた対応」が挙げられます。先述したように、最近は大学入試に向けた取り組みが活発化しています。今までは、大学入試の一次試験と言われる「大学入試センター試験」でどれだけの点数が獲得できるかが重要でしたが、2020年から「達成度テスト」という試験が創られることになり、教育業界での最も大きな課題として挙がっています。また、少子高齢化の影響はまだ深刻なほどには影響が出ていませんが、今後の課題として注意しておく動きも多少なりとも見られます。


教育業界の今後 

ここでは、教育業界の今後について解説をしていきます。教育業界はこれからしばらく右肩上がりになっていくと予想されています。現在既に教育の現場で教材のデジタル化が進んでいます。急激な進化はいまだに続いているので、オンラインを駆使した教育コンテンツはこれからも増加していくと考えられています。予備校や塾に通うといったスタイルからインターネットを利用したオンライン教育に変化していくことにより、低価格化の実現とさらなるわかりやすいデジタル教材の登場がなされます。

また、英語教育についてもさらなる進化を遂げると予想されています。小学校教育から英語が必修科目となり、英語教育に対してのアプローチ度合いが高まってきています。現在も既に英語教材や英会話学校の需要が高まっており、業績が上がっています。
こういった動きがある中で、ゆとり教育をなくす動きもあります。2011年度から小学校、2012年度に中学校、2013年度に高校で新学習指導要領を基準に教育がスタートし、小中学校での授業時間増加、英語教育と理数系の教育に力を入れる方向になっていっています。今後は学習の密度がさらに高くなっていくはずです。

教育業界とは

教育業界とはいえど実に様々な分野に分けることができます。ここではその様々な分野について解説をしていきます。

教育業界は教育機関である幼稚園・小学校・中学校・高校、進学を目指している子供のための「予備校や学習塾を運営する企業」、社会人を対象とした「資格・語学学校を運営する企業」、企業向けの「社員研修を行う企業」などに分類することができます。
教育機関のグローバル化・オンライン化が加速するのと同時に、予備校や学習塾の分野でもオンライン化が進んでいます。オンラインにすることで受講料が安くなり、教材のクオリティも上がってきました。こういった動きが起こることにより、教室を設けた予備校や学習塾は経営の危機に陥っているということが問題視されています。

また、社会人に向けた教育サービスでも、英会話をメインとした語学学校がオンラインスクールを開始するようになっています。実際に通う必要がないということで仕事が忙しくても教育を受けられるということが大勢の方からの需要がある理由のひとつです。こうした動きがあるので、教育業界に就職しても必ず教員免許が必要というわけではなくなりました。


教育業界 売上げ企業ランキング



ここでは、教育業界に属する企業を売上TOP10までをランキング形式にし、TOP3の企業ついて解説を入れました。

1位 ベネッセHD 4,441億円
2位 学研HD 959億円
3位 ヒューマンHD 690億円
4位 ナガセ 457億円
5位 JPホールディングス 205億円
6位 早稲田アカデミー 201億円
7位 TAC 200億円
8位 リソー教育 196億円
9位 明光ネットワークジャパン 187億円
10位 東京個別指導学院 170億円

教育業界においてダントツ1位のベネッセHDはマスメディアを使った広告の頻度が高く、多くの人の目に触れてきたことで知名度がぐんと上がりました。ベネッセのオリジナルキャラクターがイメージに残りやすく、それをきっかけに幼児から高校生までの世代を対象としたサービスが大変な人気を博しました。なかでも通信教育講座がとても人気です。
このように圧倒的な売上を記録した背景には、広告を利用したイメージ戦略が利用者にフィットしたということが挙げられます。

2位の学研HDは家族、子供向けにサービスを提供し続けた結果がこのように現れました。1位のベネッセHDと比較してしまえばかなりの差があるので大きな売上を記録したように見えない錯覚をしてしまいますが、業界全体の売上で見てみればかなり高い売上を記録したということがいえます。学研HDに関してもテレビCMでお馴染みという方が多いはずです。

続いて3位のヒューマンHDはベネッセHD、学研HDに比べるとテレビ広告やその他の媒体を使って宣伝を大々的に行なっている企業ではありませんが、堂々の3位にランクインしました。1位のベネッセHD・2位の学研HDは子供向けの教育サービスが多いのに対し、ヒューマンHDは大人向けの教育サービスに力を入れてきました。社会人はスキマ時間に自己啓発系のスクールを受講したいと考えている場合が多いので、ヒューマンHDの今後の発展も十分に考えられます。

「教育業界で働く」とは

ここでは教育業界の職種や仕事内容について紹介をしていきます。
教育業界の職種は7つに分類することができます。

①経営・企画
教育業界の経営・企画は教育事業を全体的に分析し、経営の戦略を組み立てていく職種です。いわば企業の中核を担う重要な役目を果たしています。企業のこの先を決めるような大きな決断を強いられる場面も多々ありますが、それだけやりがいがある職種であるといえます。

②人事
人事という職種は新卒者・中途採用者などの管理、社員の人材育成をします。直接利用客と関わる機会よりも企業内の社員と関わることが多いのが特徴です。自分の管理内にいる社員が成長していく姿を見ることができるというやりがいがあります。

③総務
教育業界での総務とは、一般的な事務をする職種です。企業内で必要な手続きや企画の際に必要な庶務を請け負うこともあります。企業内では縁の下の力持ちなので、影で支えたいという方向けの職種であると言えます。

④経理財務
企業のお金に関する事柄をまとめたり、進行する職種です。資金の管理や運用も行うので、きちっとした管理が得意な方にとってはやりがいのある仕事です。お金によって企業が成り立っているということを実感できる職種といえます。

⑤講師
生徒や学生に学習内容を指導するのが講師の役目です。基本的に講師は科目別に分かれて学習指導をします。受講する生徒や学生はそれぞれの目的があります。また、悩みもそれぞれです。講師はそういった生徒や学生の悩みに乗ってあげることが仕事の時もあります。教え子が将来に向けて進んで行く過程を目の当たりにできるのは嬉しいことであるといえます。

⑥サポートスタッフ
サポートスタッフは主に試験問題の研究をし、講義で使用するための教材を編集・制作するのが仕事です。自分の作った問題集が世に出回り、その問題集を使って学習をする人たちがいるということが実感できるのが魅力といえます。

⑦事務・販売促進
事務・販売促進は校舎の運営をしたり、受講者が増えるようなマーケティングを考えたり、宣伝・広報によって受講生を集めたり、教材・サービスの販売促進を担う職種です。この職種は企業の売り上げにダイレクトに響いてくるので結果を求められる大変さはありますが、その分やりがいはあるといえます。


まとめ

今回は教育業界の現状と今後の将来性について解説していきました。いかがでしたでしょうか。教育業界はオンライン化・デジタル化が増加の一途を辿っている業界の一つです。今後の発展も十分に考えることができますから、教育業界に就職を考えている方は是非とも参考にしてみてください。